KADOKAWA Technology Review
×
ウーバーの死亡事故、
自動運転の早すぎる拡大に
「減速」求める声
Volvo
カバーストーリー 無料会員限定
What Uber’s fatal accident could mean for the autonomous car industry

ウーバーの死亡事故、
自動運転の早すぎる拡大に
「減速」求める声

自動運転の実用化へ向けて、各社は公道での実証実験を競っている。だがウーバーの自動運転車による初の死亡事故によって、業界がテクノロジーの普及を急ぎすぎているのではないかと問う声も上がっている。 by Will Knight2018.03.22

3月18日の夜にアリゾナ州テンピで発生したウーバー(Uber)の自動運転車による歩行者死亡事故を受けて、自律自動車産業は厳しい世間の目と批判にさらされている。

事故の詳細はまだ明らかになっていないが、地元警察署は、自動運転モードで走行中のウーバーの車両が前を横切った女性をはねて死亡させたと発表している。ウーバーは警察の調査に協力し、フェニックス、ピッツバーグ、サンフランシスコ、トロントでの自動運転車の走行試験を中止したと発表した。

自動運転自動車が歩行者を死亡させたのはこれが初めてのことで、事故は自動運転テクノロジーが進むペースに対して疑問を投げかけるものとなった。ウーバー以外にも、大手自動車メーカーや小規模のスタートアップを含む多くの企業が自動運転車や自律システムの試験を急いでいる。自動運転テクノロジーが将来有望であることに加え、ほとんどの場合、緊急時の安全確保のためのセーフティ・ドライバーが乗車していることもあって、自動運転自動車の実証実験は地方自治体からも歓迎されてきた。実際、テンピの事故が起きたときも、前の席にはセーフティ・ドライバーが乗車していた。

自動運転は最終的には交通事故で命を落とす人を大幅に減らすものだが、あまりにも普及を急いでいるとの声もある。

多くの人が自動運転テクノロジーはすぐにでも大規模に展開できるものだとして賞賛する中、マサチューセッツ工科大学(MIT)で自動運転を研究するブライアン・ライマー研究科学者は、「今回の事故によって本格的な展開はまだ難しいことが証明されまし …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. The three big unanswered questions about Sora 時間も資金も溶かす? AI動画SNS「Sora」3つの疑問
  2. EV tax credits are dead in the US. Now what? 米EV減税が正式廃止、今後の動きをドイツの先例から予想
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
気候テック企業10 2025

MITテクノロジーレビューは毎年、気候テック分野で注目すべき企業を選出し、その一覧を発表している。 今回で3回目となる本特集では、なぜこれらの企業を選出したのか、そして米国の政治的変化をどのように考慮したのかについても詳しく解説している。併せてお読みいただきたい。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る