Innovators Under 35 Japan
応募フォーム記入ガイド
Innovators Under 35(35歳未満のイノベーター)は、才能ある若きイノベーターたちを讃え、その活動を支援することを目的としたアワードです。私たちは、新技術の開発や、既存技術の創造的応用によって、グローバルな社会課題の解決に取り組んでいる人をイノベーターと呼び、MITテクノロジーレビューのグローバルなネットワークを通じて、イノベーターの取り組みを広く社会へと広めていきたいと考えています。
すべての審査は、応募フォームに入力いただいたテキストと、事前審査を通過した後に提出いただく追加書類によって厳正に行われます。あなたのイノベーションの価値が審査員に正しくかつ魅力的に伝わるよう、記入ガイドをまとめました。
必ずしもこの通りに書く必要はありませんが、応募にあたっての1つの「型」として、参考にしてください。
■「業績」と「課題」の書き分け
応募フォームには、「候補者による主なイノベーション/業績」と「候補者のイノベーションによって解決される課題」という2つの記入項目があります。この2つには何を書くべきなのか、どうかき分けるべきなのか、という質問をいただくことがあります。
この2つの項目は、カメラの「ズーム(業績)」と「引き(課題)」の関係で説明できます。
「候補者による主なイノベーション/業績」(600文字):
レンズを「自分」に向けてください。「私が何を発見し、どう作ったか」という、あなた自身の取り組みにフォーカスして語る場所です。
「候補者のイノベーションによって解決される課題」(400文字):
レンズを「世界(社会)」に向けてください。「いつ、どこで、誰が、どのように困っているのか」、そしてそれをあなたの技術がどう解決できるのかを語る場所です。
■候補者による主なイノベーション/業績
1. 冒頭で「何者か」を定義する(専門性の宣言)
多くの応募者は「私は〜をしました」と書き始めます。「自分は何の専門家か」を定義してから、その専門領域における成果を語ります。
Good: 私は、自然言語処理(NLP)と医療AIを専門としている若手研究者である。医療用大規模言語モデルの信頼性評価において先駆的な成果を上げている。
2. 中核となるイノベーション/成果を決める
よく、これも作ったあれも作った…といった羅列をされる方がいますが、少ない文字数では具体性に乏しく、評価が困難です。審査員が知りたいのは、直近(1〜2年以内)あなたが成し遂げた具体的な成果です。まず、もっとも大きな成果として何を語るのかを決めてください。また、類似する既存の取り組みとは何が違うのか、具体的に説明してください。
Bad: 独自のアプローチによって医療現場の負担を劇的に軽減するAI支援ツールを開発したほか、医療だけでなく介護の現場でも使えるツールや、教育現場の効率化に役立つツールも多数開発して、労働者不足の問題を解決している。
Good: 「機械論的解釈可能性の解析アプローチ」を開発し、大規模AIの安全性評価に応用した。同様のアプローチは大手AI企業も手掛けているが、詳細は公開されていない。私は複雑な電子回路の仕組みを紐解くリバースエンジニアリングに着想を得て、AIの「予期せぬ暴走や偏見の原因特定」に要する検証コストを大幅に軽減することに成功した。研究成果は2025年4月にネイチャー誌に掲載された。
3. 取り組みの広がりや裏付けとなる情報で補強する
中核となる成果について具体的に説明をした上で、その他の関連する取り組み(過去あるいは今後の予定)について簡単に触れることは、イノベーターとしての将来の可能性を伝える上で効果的です。また、受賞歴やメディア掲載歴は、あなたの成果が社会から評価されている裏付けとして記述できます。ただし、審査員は「盛った」情報はすぐに見抜いてしまいます。客観的かつ抑制的な記述を心がけてください。また、まれに「人柄」について記述される方もいますが、イノベーターの選出という本アワードの目的に照らし合わせると、他の事柄の記述に文字数を割くことをお勧めします。
Bad: 独自開発した世界初のAI支援ツールは、7件の特許を取得。2020年にはベンチャーアワードを受賞し、それがきっかけで資金調達にも成功。テレビなどのメディアでも多数取り上げられた。社内では後進の指導にも積極的にあたっており、人望も厚い。
候補者による主なイノベーション/業績記入時の「セルフチェックリスト」
□中核となるテーマは絞られているか: 600文字という限られた中であれこれ書くのは逆効果です。メインとなる取り組みは絞られていますか?
□ブレークスルーが明確か: 「既存の取り組みと何が違うのか」「何が初なのか」が具体的に書かれていますか?
□誇るべきは「人気」ではなく「実力」か: メディア露出やSNSの反応よりも、具体的な成果の中身に文字数を割いていますか?
■候補者のイノベーションによって解決される課題
1. 社会的なインパクトを書く
私たちが求めているのは、社会にインパクトをもたらすイノベーターです。この欄ではあなたの取り組みを学会や業界ではなく、社会から見たときにどう位置づけられるか、という視点を持って書いてください。
2. 課題と解決のスコープを明確にする
無理に社会課題に結びつけようとするあまり、稀に「SDGsの17目標の4番目にも貢献します」のような曖昧な記述を見かけます。そうではなく、「いつ、どこで、誰が、どのように困っているのか」という課題をまず明確にしてください。その上で、あなたの取り組みがどう解決につながるのか、なぜ解決に貢献するのかを具体的に記述してください。
3. 「2段階」で描く
400文字の中で、「現時点での解決(近視眼的)」と「将来の可能性(俯瞰的)」の両方を記述してください。
ステップ1(現在): 直近の取り組みによって解決する/された課題
ステップ2(将来): 取り組みが広く社会に波及することで解決する可能性がある課題
候補者のイノベーションによって解決される課題の「セルフチェックリスト」
□「残念な現状」を具体的に書いているか: 自分の取り組みを褒める前に、「今、社会が直面している困難」から書き始めていますか?
□「なぜ今まで解決できなかったか」に触れているか: 既存技術の限界(重すぎる、高すぎる、物理的に無理だった等)を指摘していますか?
□ターゲットは明確か: 課題をでっち上げていませんか。具体的な困っている人やシーンをイメージできる説明がなされていますか。
事務局からのヒント
英語の文章では、”This innovation addresses a critical bottleneck in…”(この革新は、〜における致命的な停滞を解決する) という強い宣言から入ることが一般的です。
日本語で書く際も、「〜という背景があり、〜といった問題が指摘されています」とダラダラ書くのではなく、「解決すべき最大の課題は、〇〇という限界である。私は✕✕によってこの限界を打破した」と言い切る勇気を持ってください。