フラッシュ2022年10月5日
-
ブラックホール電波ジェットへのプラズマ供給機構を解明=東北大
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東北大学の研究チームは、一部の超巨大ブラックホールに見られる「電波ジェット(電波の周波数帯で明るく輝いて見える、ほぼ光速で噴出している細く絞られたプラズマ流)」にプラズマが供給される仕組みの理論モデルを提案。電波ジェットの観測から要求されるプラズマの供給量を説明することに初めて成功した。
同チームは、超巨大ブラックホールの表面付近では、磁気エネルギーの解放により短い時間だけ高エネルギーの光子が多量に放射される「フレア(爆発)」現象が発生すると予測。多量の高エネルギーの光子がブラックホール近傍の非常に小さい領域から放射される結果、光子同士が頻繁に衝突して多量の電子・陽電子対が生成され、電波ジェットにプラズマを供給するとしている。この理論モデルでは、これまでに提案されていた理論モデルの約10万倍のプラズマを電波ジェットに供給できるという。
今回の理論モデルでは、電波ジェットへと供給されるプラズマの量はブラックホールの質量やブラックホールへと落ち込む降着プラズマの物質量などに依存するため、それぞれの電波ジェットの明るさが大きく異なる。そのため、天の川銀河の中心の超巨大ブラックホール「Sgr A*」からの電波ジェットは暗くて現在の装置では観測できず、初めてブラックホールの画像が撮られた巨大楕円銀河M87からは強力な電波ジェットが観測されることを自然に説明できる。
銀河の中心にある超巨大ブラックホールで観測される電波ジェットにおいて、電波放射に必要なプラズマが供給される仕組みはこれまで解明されていなかった。
今回の研究は、米国の天体物理学専門誌、アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(The Astrophysical Journal Letters)のオンライン版に2022年9月29日付でに掲載された。
(中條)
-
- 人気の記事ランキング
-
- AI researchers stranded Claude on a virtual desert island. It started to “play.” やることがないAIは何をする? 無人島に30時間置き去りにした結果
- This implant can restore sight for patients with macular degeneration 患者の8割超が再び文字を読めた、網膜インプラントの仕組み
- “We were looking at it wrong”: The explosive claim that’s upended the AI world 「ニューラル・ネットは読み解ける」主張、元オープンAI研究者に真意を聞く
- Pig kidneys that were “frozen” for a year have been brought back to life 「臓器が患者を待つ」時代へ?1年間保存したブタ腎臓が再び機能した