フラッシュ2022年11月3日
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量子光を自在に制御、シュレディンガーの猫状態を生成=東大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学などの共同研究チームは、あらゆる量子光を所望のパルス波形で出力する光源である「量子任意波形発生器(Q-AWG:Quantum Arbitrary Waveform Generator)」を提唱。その核心となる技術である量子光のパルス波形を自在に制御する手法を開発し、大規模光量子コンピューターの作動に必要となる、特殊なパルス波形を持つ量子光の生成に初めて成功した。
研究チームは、量子もつれを介してパルス波形を自在に制御する新しい手法を考案した。光1と光2に量子もつれがある場合、光2を光子検出器に入射すると、光子が検出されたタイミングで光1側に狙った量子状態が生成される。光子検出器の前に光フィルターを設置することで、生成される量子光のパルス波形を指定する仕組みである。同チームは、量子もつれのある光の周波数帯域を広くすることで波形制御の分解能を上げ、任意のパルス波形を実現した。
この方法では実際に目的の量子光が生成される光1側に光フィルターを設置する必要がないため、量子光への損失を抑えたままパルス波形の制御が可能になる。実証実験では、量子もつれのある光を生成し、光フィルタと光子検出器を組み合わせることで、「シュレディンガーの猫」状態と呼ばれる量子光を、「バランス型タイムビン」と呼ばれる波形のパルスとして生成することに成功した。
レーザー光を任意のパルス波形で出力する「任意波形発生器」は現時点で最も汎用性の高い光源の一つであるが、古典光であるレーザー光のみを扱うため、量子技術への応用には限界がある。量子光を自在に出力する新しい光源は、大規模光量子コンピューターをはじめとする量子技術の実現につながりそうだ。
研究論文は、米国科学誌サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)のオンライン版に2022年10月28日付けで掲載された。
(中條)
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