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「肉か発酵食品しか食べない」米保健長官が目指す「健康な米国」
Stephanie Arnett/MIT Technology Review | Adobe Stock
RFK Jr. follows a carnivore diet. That doesn’t mean you should.

「肉か発酵食品しか食べない」米保健長官が目指す「健康な米国」

米国のケネディ保健長官は「肉食ダイエット」で内臓脂肪を40%減らしたと主張し、FDA長官は飽和脂肪の害を「政府の誤情報」と呼ぶ。しかし、肉のみの食事が健康に良いとする科学的根拠は存在しない。SNSのインフルエンサーと同じ主張が、いまや連邦政府から発信されている。 by Jessica Hamzelou2026.02.19

この記事の3つのポイント
  1. ケネディ保健福祉長官が肉とバターを重視した新食事ガイドラインを発表し極端な肉食推進が話題
  2. ソーシャルメディア上で栄養に関する誤情報が拡散し公衆衛生上の懸念として研究者が警鐘
  3. 飽和脂肪と心疾患リスクの科学的関連性は確立済みでバランス食が最適解との専門家見解
summarized by Claude 3

米国人は新たな食事ガイドラインを手にした。ロバート・F・ケネディ・ジュニア米保健長官は昔ながらのフードピラミッドを逆さまにし、ステーキとバター1本を最上位に据えた。

ケネディ長官と彼の「MAHA(Make America Healthy Again:米国を再び健康に)」の仲間たちは長年、肉や全脂肪乳製品の効能を称賛してきた。そのため、これらの食品が野菜や全粒穀物と並んで推奨されているのを見ても、それほど驚きではなかった(飽和脂肪の過剰摂取が健康に極めて有害であることは十分に確立された事実であるにもかかわらず)。

一部のインフルエンサーはこの肉中心の潮流を極端に推し進め、「カーニボア・ダイエット(肉のみを摂取する食事法)」を実践している。「最善の方法は、脂肪の多い肉とラード以外のすべてを排除することです」と、約40万人のフォロワーを持つ医師のアンソニー・チャフィーはInstagram(インスタグラム)への投稿で述べた。

そして私は、LinkedIn(リンクトイン)をスクロールしていて、別の医師が「野菜が人間の食事に必要だという科学的証拠はゼロです」と宣言するインタビューに出くわした時、ブロッコリーを喉に詰まらせそうになった。その医師は自らを「90%カーニボア」と称し、前日に食べたのは牛肉1キロだけだったと語り、さらに野菜には「反栄養素」が含まれていると続けた。それが何を意味するにせよ。

ソーシャルメディアで少し時間を過ごせば、この種の主張に出くわすのは難しくない。「伝統主義者」を名乗るインフルエンサーであり作家、心理学者でもあるジョーダン・ピーターソンは、2018年という早い時期から肉のみの食事を推進していた。ソーシャルメディア上の栄養に関する誤情報を分析した最近のレビュー論文によれば、食事に関する情報は主にInstagramとYouTubeで共有されており、その多くが根拠に乏しい内容であるという。著者らがそれを「増大する公衆衛生上の懸念」と表現するほどである。

新しいのは、この種の誤情報の一部が、現在米国の連邦保健機関を率いる人物から発信されている点である。1月、保健福祉省を率いるケネディ長官はUSAトゥディ紙の記者に対し、自身がカーニボア・ダイエットを実践していると語った。「私は肉か発酵食品しか食べません」と彼は述べ、この食事法によって「1カ月で内臓脂肪の40%」を減らすことができたと続けた。

「政府は、天然脂肪や飽和脂肪が体に悪いという誤情報の拡散をやめる必要があります」と、米食品医薬品局(FDA)長官のマーティン・マカリーは最近のポッドキャストのインタビューで主張した。「ホールフードとクリーンミート」の原則は「聖書的です」と彼は述べた。インタビュアーは、マカリー長官の農薬に関する警告を受けて「すべてのサラダを避け、食料品店のオーガニック売り場を完全に素通りしたくなりました」と語った。

念のために言えば、飽和脂肪を多く含む食事が心疾患のリスクを高め得るという証拠は豊富に存在する。これは政府による誤情報ではない。

野菜を避けるべきだとするカーニボア派の医師の主張も誤りであると、ジョージ・ワシントン大学食品安全・栄養安全保障研究所の食品・栄養政策担当副所長ギャビー・ヘドリックは述べる。肉のみの食事が健康に良いとする証拠は存在しない。「これまでのすべての栄養科学は、幅広い種類の野菜が非常に健康促進的であることを強く示しています」と彼女は付け加える。

インフルエンサーたちに公平を期すなら、食事の研究は難しい分野である。栄養学研究の多くは、ボランティアが詳細かつ正確な食事日記をつけることに依存しているが、これは一般に人々があまり得意としない作業である。また、私たちの体が食品にどう反応するかは、遺伝的要因、マイクロバイオーム、食品の調理法や摂取方法、さらには他の未知の要因にも左右され得る。

それでも、前述の研究が「低品質コンテンツ」と呼ぶものがソーシャルメディア上に大量に存在していることは、誰にとっても驚きではないだろう。したがって、「奇跡の食品」や極端で制限的な食事法に言及する投稿に出会った際には、十分な懐疑心を持つことが重要である。

真実は、ほとんどの食品は適度に摂取する限り、特別に良いわけでも悪いわけでもないということである。食事の流行は移り変わるが、ほとんどの人にとって最も妥当な助言は、砂糖、塩分、飽和脂肪を控えたバランスの取れた食事を心がけることだ。要するに、基本である。あの奇妙な逆さまのフードピラミッドが何を示唆していようともだ。カーニボア系インフルエンサーたちに言いたい――その誤情報を私のブロッコリーから取り除いてほしい。

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生物医学と生物工学を担当する上級記者。MITテクノロジーレビュー入社以前は、ニューサイエンティスト(New Scientist)誌で健康・医療科学担当記者を務めた。
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