ヒト細胞を持つヒツジの作製に成功、移植用臓器の実現へ前進
ある研究者チームが、ヒトの細胞を持つヒツジの胚を育てたという。だが、その成果がもたらす恩恵を受けるには、まだ長い道のりがある。
科学者らはヒツジの胚にヒト幹細胞を融合させ、28日間かけてその「キメラ」を胎児に育てあげたと報告した。この研究チームは、すでにヒトとブタを用いた同様の実験についても説明している。MITテクノロジーレビューがこの実験について世界的にスクープしたのは2016年のことだった。
こうした試みは、移植用の人間の臓器を動物で育てられるかもしれないと期待されている。新しいキメラは細胞の数にしてわずか0.01%の人間である。ヒトとブタの実験でのヒト細胞の割合が0.001%だったのでそれよりはマシだが、人間の臓器を育てるにはヒト細胞の割合を1%近くにする必要がある。
この手法は依然として論議の余地がある。胎児の28日以上の育成に踏み込むには、規制当局の倫理的な境界が試されている。
- 参照元: Guardian
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