KADOKAWA Technology Review
×
動画生成AI「Sora」の問題点とは? 知財専門家が解説【11/12緊急開催🚨】
Why I’m Backing Deep Drumpf, And You Should Too

米国のエリート層は、トランプ候補がとことん嫌いなのだ

科学技術における女性への募金によって、このとてつもないアルゴリズムは、あなたの頭をくらくらさせるほどアメリカを偉大にするだろう。信じて欲しい。 by Will Knight2016.10.18

今年の米国大統領選挙は本当に馬鹿げている。支離滅裂で怒りに任せた発言を吐き出すアルゴリズムは、立候補中の最悪の候補者ですらない。

ディープ・ドランプ(トランプ候補の祖先がドランプ氏で、ドイツ語の”Drumpf “を”Trump”に改姓した)という単なるアルゴリズムが、まさに選挙戦に参加した。深層学習で作られたアルゴリズムに ドナルド・トランプ候補の演説を大量に読み込ませたところ、トランプ候補自身が発信した数多くのツイートと非常によく似たツイートを自動的に生成した。

たとえば、この最近の反論の答弁を取り上げてみよう:

核兵器を保有しているなら、自由貿易は素晴らしい

あるいは、国家安全保障に関するこれはどうだろう:

この政治家たちはどれだけ馬鹿なんだ? 彼らは我々を殺しているのに、諸君は誰からもそれを聞かされていない。我々には戦争を始められる指導者が必要だ。

もちろん、アルゴリズムは実際に大統領にはなれない。しかし、最初にディープ・ドランプを3月に開発したマサチューセッツ工科大学(MIT)のロボット工学の専門家、ブラッドリー・ヘイズ研究員は、選挙で最近、女性の待遇が話題になっているのを知り、科学、テクノロジー、工学、数学(米国では頭文字をとって「STEM」と総称される分野)での性差を埋めることを目的とする無党派組織「GirlsWhoCode」への嘘の募金キャンペーンを立ち上げた。

トランプ候補について考える(あるいはヒラリー・クリントンでも)ことは、取り上げるべき重大な理由になる。なぜならテクノロジー全体には多様性が欠如しているからだ。

ヘイズ研究員は「選挙のたびに繰り返される馬鹿馬鹿しさを際立たせるため」仕事の合間にディープ・ドランプを開発した。完成したボットは、本物の共和党大統領候補のツイートのスタイルと内容の最高の物まねになっている。

ボットは、人工知能の観点からも興味深い。一般的に、アルゴリズムにとって、自然な文法解析と言語の生成はとても難しい。しかし、ヘイズ研究員は、トランプ候補の喋り方は非常に文のつながりが悪く、不器用なため、アルゴリズム的なパロディー処理がとてもしやすいのだ、という。「トランプ候補は自分自身で頻繁に話の腰を折るし、非常によく脱線します。実際、私のようにトランプ候補のしゃべり方をモデル化しようとする人間にとって、信じられないほど都合がよいのです」

(関連ページ: DeepDrumpf 2016, “10 Breakthrough Technologies: Deep Learning,” “AI’s Language Problem”)

人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #35 Soraの問題点とは? AI時代の知財を考える11/12緊急イベント
  2. I tried OpenAI’s new Atlas browser but I still don’t know what it’s for 誰のためのブラウザー? オープンAI「Atlas」が残念な理由
  3. What a massive thermal battery means for energy storage 1000℃のレンガで熱貯蔵、世界最大の蓄熱電池が稼働
タグ
クレジット Photograph by Gage Skidmore | Flickr - Image courtesy of Google Deep Dream Generator
ウィル ナイト [Will Knight]米国版 AI担当上級編集者
MITテクノロジーレビューのAI担当上級編集者です。知性を宿す機械やロボット、自動化について扱うことが多いですが、コンピューティングのほぼすべての側面に関心があります。南ロンドン育ちで、当時最強のシンクレアZX Spectrumで初めてのプログラムコード(無限ループにハマった)を書きました。MITテクノロジーレビュー以前は、ニューサイエンティスト誌のオンライン版編集者でした。もし質問などがあれば、メールを送ってください。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
気候テック企業10 2025

MITテクノロジーレビューは毎年、気候テック分野で注目すべき企業を選出し、その一覧を発表している。 今回で3回目となる本特集では、なぜこれらの企業を選出したのか、そして米国の政治的変化をどのように考慮したのかについても詳しく解説している。併せてお読みいただきたい。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る