アポロ11乗組員が月に残した人類初の「足跡」、影の立役者の物語
今年7月に迎えるアポロ11号の月面着陸50周年に向け、MITテクノロジーレビューでは月面着陸を実現した人々のエピソードを紹介していく。初回は、あの象徴的な写真を撮影するきっかけとなった月の土壌のエキスパート、デヴィッド・キャリアのストーリーだ。 by Erin Winick2019.03.20
ウィリアム・デヴィッド・キャリアが マサチューセッツ工科大学(MIT)に入学したとき、父親は、何に取り組んでもいいが航空宇宙分野だけはやめておけとアドバイスした。キャリアの父はパイロットで、この業界がいかに景気動向に左右されやすいかを知っていたのだ。しかし大半の大学生と同じく、キャリアは父のアドバイスを無視した。「結局は、炎に引き寄せられる蛾みたいに、アポロ計画に関わることになりました」とキャリアは振り返る。
アポロ計画に携わっていた間、キャリアは月面土壌力学の専門家兼調査主任、つまりは月の土のエキスパートとして米航空宇宙局(NASA)に勤務した。アポロ11号が月面着陸を果たす前には、月の土壌が実際にどうなっているかについてさまざまな突拍子もない噂話が飛び交っていた。宇宙飛行士が着陸したらそのまま沈み込んでしまうのではないか? 地面が固体でなかったらどうする? キャリアは自ら飛行士たちに説明し、不安な気持ちを落ち着かせようと決心したのだ。
キャリアが働くヒューストンの職場の廊下の先には、地質学者のチームがいた。宇宙飛行士らにエル・パソでの実地訓練を受けさせるのが、チームに課せられたタスクだった。「飛行士たちは月へ行く前に、修士号に相当するほどの地質学の知識を身に付けていました」とキャリアは語る。「私は地質学者たちと仲良くなり、『訓練の手伝いをしましょうか?』と尋ねました。そうしたら『もちろんだよ、ぜひ手を貸してください』と言われました」。これは宇宙飛行士たちに、自分が持つ月の土壌に …
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