KADOKAWA Technology Review
×
Facebookログイン終了のお知らせ(2026/3/31 予定)
病気を治す人工バクテリア
デザイナー菌に賭ける企業
カバーストーリー 無料会員限定
Companies Bet on Designer Bacteria as New Way to Treat Disease

病気を治す人工バクテリア
デザイナー菌に賭ける企業

合成生物学企業は患者に経口投与する遺伝子組み換えバクテリアを開発しているが、認可手順は不明だ。 by Antonio Regalado2016.11.09

来年中には、米国のボランティアに遺伝子操作された大腸菌カプセルが経口投与されるかもしれない。

合成生物学系スタートアップ企業シンロジック(本社マサチューセッツ州ケンブリッジ)は、珍しい代謝疾患の治療用に、人の胃に到達すると大量のアンモニアを吸収するバクテリアを含む経口薬を設計し、実験段階にある。

この治療(最初の臨床テストは2017年中に予定)は、シンロジックの共同創設者で、マサチューセッツ工科大学(MIT)のジェームス・コリンズ教授が「合成生物機能学」と呼ぶ方法の初期段階の事例だ。遺伝子プログラムされた腸内細菌は、体内の条件を検出すると、設計された機能が発動する。薬の配達か、診断テストに使う有色の化学物質の投与のように体内で活動するのだ。

遺伝子組み換え菌を飲むアイデアはほとんど常識を超えた行為だ。しかし、目的を与えられた細菌は、従来の経口薬や注射剤の代わりとして、病気でうまく働かなくなった人体の生理機能を引き継ぐ新しい方法になり得る。

「スマートバクテリア」は、コリンズ教授が2000年から普及させた、合成生物学手法の最初の医療使用例になるかもしれない。2000年にコリンズ教授は、電子機器をヒントに、大腸菌のトグルスイッチ(2つの遺伝子を、状態によって変化させる回路)の基本機能を作成した。この素晴らしいデモンストレーションからまもなく、プリンストン大学の科学者は発光をオン・オフできる蛍光性の細菌を作ったと発表した。

このアイデアによって、あらゆる種類の新しく、便利な機能の実現するために細胞をプログラムできる。非常に魅力的なアイデアであることは明白で、TEDトークや国際的な学生大会に数多くの専門家が登壇している。

しかし、アイデアを初めて具体的に医療用に応用したのは、シンロジックによる遺伝子組み換え経口薬の計画だ。腸内細菌である大腸菌の特徴を損なわずにいくつ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. This company claims a battery breakthrough. Now they need to prove it. すべてのパラメーターが矛盾——「出来すぎ」全固体電池は本物か?
  2. OpenAI’s “compromise” with the Pentagon is what Anthropic feared アンソロピック排除の裏で進んだオープンAIの軍事契約、その代償は
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る