深層学習の限界突破へ、MITなどが「ハイブリッドAI」を開発
MIT、IBM、ディープマインドなどの研究チームは、世界に関する知識を明示的にコーディングする「シンボリスト」と、生物の脳に着想を得たニューラルネットで世界を学習する「コネクショニスト」の2つのアプローチを取り入れた、ハイブリッドAIシステムを開発した。訓練データがはるかに少なくて済むことから、AIの新たな用途が期待される。 by Will Knight2019.04.10
人工知能(AI)が誕生してから数十年になるが、この間、AI分野の研究は大きく2つの陣営に分類されてきた。「シンボリスト」が論理的な規則と世界の表象をコーディングすることで知性を宿す機械を構築しようとする一方で、生物学に触発された「コネクショニスト」は、人工ニューラル・ネットワークを構築することで世界について学ぼうとしてきた。2つのグループはこれまで、相性が良いといえる関係ではなかった。
だがマサチューセッツ工科大学(MIT)とIBM、ディープマインド(DeepMind)の研究チームによる最新の論文は、2つのアプローチを組み合わせた力を示しており、AIの将来の方向性を指し示すものと見られている。
ジョシュア・テネンバウム教授率いるMITの脳・知性・機械センターのチームは、「ニューロシンボリック・コンセプト・ラーナー(NS-CL)」と呼ばれるコンピューター・プログラムを作成した。子どもが周囲を見回したり話したりするように、世界(簡易版ではあるが)について学ぶプログラムだ。
NS-CLシステムはいくつかの部分から構成される。1つのニューラル・ネットワークは、少数の物体で構成される一連の場面に基づいて訓練されている。 もう1つのニューラル・ネットワークは、この場面に関する一連の文章に基づく問答で訓練されている。「問:球の色は何色ですか?」、「答:赤」といった具合だ。このネットワークは、自然言語の質問を、ある場面で実行されると答えを返す単純なプログラムに対応付けることを学ぶ。
NS-CLシステムはまた、「物体」 …
- 人気の記事ランキング
-
- Inside the controversial tree farms powering Apple’s carbon neutral goal 1日100万本の植林が生む 広大な「緑の砂漠」 ブラジル・セラードの光と影
- Synthesia’s AI clones are more expressive than ever. Soon they’ll be able to talk back. 「不気味の谷」越え近づく? 進化した最新AIクローン技術
- This American nuclear company could help India’s thorium dream インドが描いた「トリウムの夢」、米企業の燃料技術で花開くか
- Inside the controversial tree farms powering Apple’s carbon neutral goal 1日100万本の植林が生む 広大な「緑の砂漠」 ブラジル・セラードの光と影