KADOKAWA Technology Review
×
IU35 2025受賞者が集結するSummitを12/17開催!来場申込受付中。
欧州の人気ユーチューバーらが労組結成、運営の透明化を要求
Christian Wiediger | Unsplash
倫理/政策 Insider Online限定
How YouTubers plan to take on YouTube for better working conditions

欧州の人気ユーチューバーらが労組結成、運営の透明化を要求

ユーチューバーたちが組織した組合が、欧州最大の労働組合と手を組んだ。ユーチューブに対して運営上の意思決定を透明化するように要求すると同時に、アップロードした動画の使用方法の決定についてコンテンツ制作者にアクセス権がないのはGDPR(EU一般データ保護規則)に違反していると訴えている。 by Angela Chen2019.08.19

組織労働者の力と訴訟の脅威によって、ユーチューブにユーザーをもっと公正に扱うように迫ることはできるのだろうか? 7月末に欧州最大の労働組合との提携を決めたユーチューバー組合(Youtubers Union)は、そうなることを望んでいる。同組合はユーチューブに対し、運営上の決定の透明化を要求するとともに、同社の現在の運営手法がデータプライバシー保護法に違反していると訴えている。

異例のアプローチだ。ユーチューバー組合の提携相手であるドイツ最大の金属労働組合、IGメタルは強い政治的影響力を持っている。一方で、ユーチューバー組合を創設したヨルグ・スプレイヴによれば、ユーチューバー組合は従来の労働組合というよりもフェイスブック上で組織された「インターネット・ムーヴメント」に近い。 組合員は組合費を支払っていないし、ユーチューブから承認もされていない。ユーチューバー組合の法的申し立ての一部は誇張されているところもある。だがそれでも、「フェアチューブ(FairTube)」と呼ばれるこの新たな協力体制によって多くの公的圧力が生じ、ユーチューブのコンテンツ制作者との付き合い方に変化をもたらすかもしれない。

スリングショット(ゴム銃)を紹介するユーチューブ・チャンネルの制作者で、200万人を超えるチャンネル登録者を抱えるスプレイヴによると、 問題は、彼自身のようにユーチューブを主な収入源としているコンテンツ制作者が多数存在するにもかかわらず、ユーチューブ側は重大な判断を下す際にその点を考慮に入れないことだという。  たとえば、ユーチューブは動画の非収益化や著作権をめぐる争い、コンテンツ警告の扱いに関する規定を変更できるが、制作者たちには何の権限もない。こうした背景を踏まえ、フェアチューブはとりわけ、コンテンツの収益化に関わるすべての決定を透明化することを要求している。さらに、 動画やチャンネルに対する個々の決定についてユーチューブ側が説明し、制作者が決定内容に意義を唱えられるようにしたいとしている。

フェアチューブ …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Quantum physicists have shrunk and “de-censored” DeepSeek R1 量子技術でDeepSeekを55%小型化、「検閲解除」にも成功
  2. Promotion Innovators Under 35 Japan Summit 2025 2025年のイノベーターが集結「IU35 Summit」参加者募集
  3. Google’s new Gemini 3 “vibe-codes” responses and comes with its own agent グーグルが「Gemini 3」発表、質問に応じて回答形式もAIが判断
  4. How to help friends and family dig out of a conspiracy theory black hole 家族が陰謀論にハマったら: 専門家が語る、 5つの現実的アプローチ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
気候テック企業10 2025

MITテクノロジーレビューは毎年、気候テック分野で注目すべき企業を選出し、その一覧を発表している。 新たなクリーン・エネルギー源の創出や、食品生産・物流の再構築といった形で経済の主要セクターの脱炭素化に取り組む注目企業10社を紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る