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1ドルで5ドルのリターン、
研究開発が政府の
「最良の長期投資」の理由
Stephanie Arnett/MIT Technology Review | Getty, Envato
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How to measure the returns to R&D spending

1ドルで5ドルのリターン、
研究開発が政府の
「最良の長期投資」の理由

NIH予算40%減、NSF予算57%減——米国の科学予算削減が進む中、研究開発投資の正当性を証明するのは、過去の輝かしいブレークスルーではなく、投資額に見合った成果だ。経済学者たちの最新の見解を紹介する。 by David Rotman2025.09.24

この記事の3つのポイント
  1. 米国政府が2026年度予算案でNIH40%減、NSF57%減の大幅削減を提案した
  2. 連邦政府の研究開発費はGDP比0.6%と過去70年間で最低水準にある
  3. 経済学研究により研究開発投資1ドルで5ドル以上のリターンが実証された
summarized by Claude 3

米国連邦政府の科学予算が大幅に削減されている。たとえば、2026年度予算案では、米国立衛生研究所(NIH)の予算は40%減、米国立科学財団(NSF)の予算は57%減だ。こうした状況を踏まえると、研究開発(R&D)にいくら投資すべきか、そもそもその投資からどれほどの価値が得られるのか、といった資金面の現実的な問いを投げかける意義は大きい。これらの問いに答えるには、成功例だけでなく、成果に結びつかなかった投資についても検証する必要がある。

確かに、現在の最も有用な技術の多くが、政府資金による研究開発に端を発していることを指摘すれば、科学研究への支出の重要性を主張するのは簡単だ。インターネット、CRISPR(クリスパー)、GPSなど、そのような技術は枚挙にいとまがない。これはすべて事実だ。しかし、このような議論では、政府から数百万ドルの資金提供を受けながらも、少なくともこれまでのところは成果を出していない技術がすべて無視されている。DNAコンピューターも分子エレクトロニクスもまだ実現していない。ましてや、批判的な政治家たちが好んで例に挙げる、一見馬鹿げた研究プロジェクト(エビのランニングマシン走行実験など)については言うまでもない。

成功例を恣意的に選べば、イノベーションのすばらしさや、私たちの生活を一変させた技術における科学の役割を示すことはできる。しかし、それでは将来どれほどの資金を投じるべきか、またどの分野に配分すべきかといった指針を導くことはできない。

研究開発の価値を定量的に評価するうえで、はるかに有用なアプローチは、投資利益率(ROI)を調べることである。ROIは、費用と便益を比較する指標であり、株式投資の判断材料として、あるいはパワーポイントを駆使するベンチャー・キャピタリストたちに好まれて用いられている。この考え方を国家レベルの研究開発資金に広く適用すれば、大きな成功と、成果に至らなかった研究の両方に費やされた資金を把握する助けになるだろう。

問題は、科学投資に対するリターンを算出するのが極めて難しいという点にある。成果が現れるまでに何年もかかる場合があり、予想外の経路をたどることもしばしばであるため、最終的な成果が当初の資金提供とはかけ離れた場所に現れることもある(たとえば、GPSの結果としてウーバーが誕生することを、誰が予想できただろうか? あるいは、そもそも1940年代後半から1950年代にかけて開発された超高精度の原子時計が、最終的にGPSの実現に不可欠となることを、誰が想像できただろうか?)。そして、数え切れないほどの失敗や行き詰まった研究にかかったコストを追跡するのは、なおさら困難である。

しかし近年のいくつかの研究では、経済学者たちがこれまでとは異なる巧妙な手法でこの課題に取り組んでいる。彼らの問いは少しずつ異なるものの、結論は共通している。すなわち、研究開発は政府が行なうことのできる長期投資の中でも最良の部類に入るということである。

この結論は、それほど驚くべきものではないかもしれない。私たちは長い間、イノベーションと科学の進歩こそが繁栄の鍵だと考えてきた。しかし、最近の研究は、公的な基礎科学投資を含む研究開発資金が経済成長全体に及ぼす影響について、体系的かつ厳密な科学的根拠に基づいた、きわめて貴重な詳細情報を提供している。

そして、研究開発への投資がもたらす恩恵は、驚くほど大きい。

費用対効果

ノースウェスタン大学の経済学者であるベンジャミン・ジョーンズ教授と、ハーバード大学の経済学者で元米国財務長官のローレンス・サマーズ教授は、「イノベーションの社会的リターンに関する試算(A Calculation of the Social Returns to Innovation)」という論文で、米国全体の研究開発支出が国内総生産(GDP)や生活水準全体に与える影響を試算している。2人は極めて多くの変数を取り込み、全体像の把握に挑んでおり、その研究は非常に野心的なものだ。そして彼らは、リターンについて説得力のある推定範囲を導き出すことに成功し、その結果はいずれも眼を見張るものだった。

ジョーンズ教授によれば、同研究の最も控えめな推定によっても、研究開発に1ドル投資すると約5ドルのリターンが得られるという。ここでいうリターンとは、1人当たりGDPの増加、つまり私たちの豊かさの向上として定義されている。仮定を一部変更し、たとえば優れた医薬品や医療の改善といったGDPに完全には反映されない価値を考慮に入れれば、さらに大きなリターンが見込める。

5ドルというリターンは推定値の下限にすぎないが、それでも「非常に優れた投資」であるとジョーンズ教授は指摘する。「1ドルの投資で5ドルのリターンが得られる案件は、そう多くはありません」。 …

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