KADOKAWA Technology Review
×
Facebookログイン終了のお知らせ(2026/3/31 予定)
接触者追跡アプリを「期待外れ」で終わらせないための5つの助言
Associated Press | Michael Sohn
倫理/政策 無料会員限定
Is a successful contact tracing app possible? These countries think so.

接触者追跡アプリを「期待外れ」で終わらせないための5つの助言

新型コロナウイルスとの戦いにおいて鳴り物入りで登場した接触者追跡アプリに対する評価は今や、「幻滅期の底」にある。しかし、アプリを早期に導入してある程度の成功を収めているアイルランドとドイツの担当者の助言は、今後の方針を立てるのに役立つはずだ。 by Charlotte Jee2020.08.12

ガートナーの有名なハイプ・サイクルに倣うなら、今の接触者追跡アプリは間違いなく「幻滅期の底」にあるという結論は避けがたい。接触者追跡アプリが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との戦いにおいて重要な武器になるだろうという当初の興奮は、大金と多大な時間を割いたにも関わらず全てが無駄に終わるのではないかという恐怖に取って代わられている。多くの国ではアプリの利用率が低く、ノルウェーや英国では運用停止にまでなっている。

一方、米国では、接触者追跡アプリの導入が非常に遅れている。シンガポールは3月に「トレース・トゥギャザー(TraceTogether)」というアプリの運用を開始しており、スイスは5月にグーグルとアップルの接触通知システムを使ったアプリをリリースした初の国になった。

アップルとグーグルのシステムを使用した接触者追跡アプリの運用を米国で初めて開始したのはヴァージニア州だ。スイスの例から3カ月後となる8月に入ってからのことである。米国では連邦政府による連携対応が欠けているため、全国一律で共通のアプリを導入するのは不可能だろう。だが、少なくともさらに3州が同様のサービスの提供を計画している。

だが、アプリの導入が遅れたことには1つ重要な利点もある。それは、他国の失敗と成功から学ぶ機会があるということだ。

MITテクノロジーレビューはアイルランドとドイツのアプリ開発者たちを取材し、彼らが何を学んだのかについて話を聞いた。両国のアプリはMITテクノロジーレビューの「コビッド・トレーシング・トラッカー(Covid Tracing Tracker)」で上位にランク付けされている。コビッド・トレーシング・トラッカーは世界の接触者追跡アプリの開発および展開状況をモニタリングするプロジェクトだ。

アイルランドは世界で最も接触者追跡アプリの導入率が高い国の1つで、アプリを公開した最初の週に国民の37%がアプリをダウンロードした。ドイツでは国民の20%以上がアプリをダウンロードしており、大きな成功例として称賛を集め、他国の政府にアプリの開発や導入方法について助言している。

だがいくつか注意点もある。アイルランドとドイツのシステムをはじめとする多くの非中央集権的なアプリは、プライバシー保護の観点から、送信している数多くの警告に関する情報を収集していない。そのため、一部の例では成功を定義するのが難しくなっている。

しかしそれでも、すべての国が米国や英国のようにアプリの展開において混乱を経験しているわけではない。これらの国々から他国に対してどのような助言が得られるのだろうか?

1. すべての症例が重要であるということを忘れない

まずは誤解を解いておこう。接触者追跡アプリが効果を発揮するために、市民の過半数がアプリを導入する必要はない。たとえ大きな効果は得られないとしても、こうしたアプリは導入率が低くても機能する。そのため、完全かゼロかという考え方は止めるべきだ。

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. This company claims a battery breakthrough. Now they need to prove it. すべてのパラメーターが矛盾——「出来すぎ」全固体電池は本物か?
  2. OpenAI’s “compromise” with the Pentagon is what Anthropic feared アンソロピック排除の裏で進んだオープンAIの軍事契約、その代償は
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る