KADOKAWA Technology Review
×
輸送産業の脱炭素化、「アンモニア」に賭けるMIT発ベンチャー
Peter Garritano
気候変動/エネルギー 無料会員限定
This startup plans to power a tugboat with ammonia later this year

輸送産業の脱炭素化、「アンモニア」に賭けるMIT発ベンチャー

ヨン・ソクジョが共同創業したスタートアップ企業「アモジー」は、アンモニアを使ってトラックや船舶が運行できるシステムを開発することで輸送産業の脱炭素化に貢献する。 by Casey Crownhart2023.09.18

輸送産業は、世界の温室効果ガス排出量の約15%を占め、世界で最も汚染を進めている産業の一つだ。電気自動車は、今後数十年でその排出量を少しは減少させるだろう。しかしバッテリーは、長距離トラックや、大洋横断船のようなグローバルな移動をするのに使われる乗り物に電力を供給するほど十分なエネルギーを蓄えることができない。

ヨン・ソクジョ(34歳)は、アンモニアという、一見ありえなさそうな化学物質で、その解決策を思いついた。2020年にジョが共同創業し、CTO(最高技術責任者)を務めるスタートアップ企業、アモジー(Amogy)は、一般的には肥料の成分であるアンモニアを、トラックや船舶の動力源となる燃料として使用できるシステムを構築している。

アンモニアの最も魅力的な特性の一つは、エネルギー密度だ。つまり、比較的小さな容積に多くのエネルギーを詰め込むことができる。液体アンモニアは、現在のクリーン燃料の代表格である圧縮水素の約3倍のエネルギーを運ぶことができる。

アモジーにとって、輸送にアンモニアを利用するうえでの鍵は、アンモニアを分離することにある。同社のアンモニア発電システムのコアテクノロジーの1つは、クラッカーと呼ばれる化学反応器だ。この反応器はアンモニアを分解し、大気中に安全に放出できる窒素と水素にする。そ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. The three big unanswered questions about Sora 時間も資金も溶かす? AI動画SNS「Sora」3つの疑問
  2. EV tax credits are dead in the US. Now what? 米EV減税が正式廃止、今後の動きをドイツの先例から予想
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
気候テック企業10 2025

MITテクノロジーレビューは毎年、気候テック分野で注目すべき企業を選出し、その一覧を発表している。 今回で3回目となる本特集では、なぜこれらの企業を選出したのか、そして米国の政治的変化をどのように考慮したのかについても詳しく解説している。併せてお読みいただきたい。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る