10代でアプリ起業、中国発AIエージェント「Manus」開発者の素顔
高校2年生でブラウザーアプリを開発し国際的な賞を受賞、20歳でフォーブスの表紙を飾った。32歳のイーチャオ・ジが手がけるAIエージェント「Manus」は、中国チームが欧米のインフラで構築し、世界中のユーザーを狙う。 by Caiwei Chen2025.11.27
- この記事の3つのポイント
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- 中国スタートアップ「バタフライ・エフェクト」が開発したAIエージェント「Manus」は1週間で200万人の登録者を獲得
- 32歳のCSOイーチャオ・ジは10代からアプリ開発で実績を積み検索エンジン「Magi」も手がけた連続起業家
- 米ベンチマーク主導の資金調達でシンガポール拠点化し西洋プラットフォーム活用でグローバル展開を加速
「ピーク」の愛称で知られるイーチャオ・ジが、「Manus(マヌス)」のローンチ動画に出演したのは、2025年3月のことだ。その動画が話題を呼ぶとは、彼自身も予想していなかった。32歳の彼は流暢な英語で、中国のスタートアップ企業であるバタフライ・エフェクト(蝴蝶効応、Butterfly Effect)が開発したAIエージェントを紹介した。彼は同社で最高科学責任者(CSO)を務めている。
この動画は特に凝った作りではなく、共同創業者のザン・タオが監督し、北京のオフィスの一角で撮影されたものだった。それでも、ジの語り口やプロダクトに込められたビジョンには、喧騒の中でも際立つ何かがあった。当時この製品は、招待コードを持つ限られたユーザーしか使えない初期プレビュー版だったが、数日のうちに中国のインターネットを超えて世界へと拡散した。デビューからわずか1週間で、Manusは約200万人の待機リスト登録者を獲得した。
Manusは一見すると他の多くのチャットボットと同じように動作する。ユーザーはチャット画面で質問を入力できる。しかしこのツールは、単に回答を提供するだけでなく、実際にタスクを遂行する能力を備えている。例えば、指定された条件と予算内でアパートを探すといったことも可能だ。Manusはタスクを段階的に分解し、ブラウザーなどのツールを搭載したクラウドベースの仮想マシン上で実行する。Webサイトの閲覧やフォームへの入力なども自動でこなす。
ジはこのチームにおける技術面の中核を担っている。現在はシンガポールを拠点とし、同社のグローバル展開を牽引する中で、製品とインフラの開発を主導している。
年齢こそ若いものの、ジは技術的に高度でありながら実用性にも優れた製品を開発してきた10年以上の経験を持つ。この実績が、エンジニアや投資家たちからの信頼を勝ち取り、AI技術を武器に世界を目指す中国の新世代技術者の先頭に彼を押し上げた。
連続起業家
大学教授とIT専門家の両親を持つジは、4歳のときに父親の客員研究員としての任務に伴い、米コロラド州ボルダーに移住。小学2年生のときに北京へ戻っている。
幼い頃から流暢な英語を話せたことがジの個性を際立たせたが、プログラミングへの …
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