KADOKAWA Technology Review
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Gene resurrection: 10 Breakthrough Technologies 2026 遺伝子の復活

絶滅したDNAが現在、そして未来の私たちにどのような恩恵をもたらすのだろうか。

by Antonio Regalado 2026.02.10
VICHHIKA TEP/MIT TECHNOLOGY REVIEW | ADOBE STOCK
キープレイヤー
コロッサル・バイオサイエンシズ(Colossal Biosciences)、ジョージア州立大学、リバイブ・アンド・リストア(Revive & Restore)
実現時期
実現済み

そう、我々も分かっている。これはダイアウルフではない。2025年初頭、米テキサス州のバイオテクノロジー企業、コロッサル・バイオサイエンシズ(Colossal Biosciences)がタイム(Time)誌の表紙を華々しく飾り、約1万年前に北米を最後に歩き回っていた種に属すると主張する、雪のように白いイヌ科動物を披露した。他の科学者たちはこの主張を「ナンセンス」と一蹴した。実際にはそれはハイイロオオカミだったが、非常に特異な個体だった。そのゲノムには、古代のダイアウルフの骨に見られる約20個のDNA情報が遺伝子編集によって組み込まれていたのだ。

遺伝学、遺伝子編集、クローニングなどの技術の進歩により、DNAを時間を越えて移動させることが可能になってきた。科学者たちは古代の遺骨に残された遺伝情報を解析し、それを現代の生物の体内で再現している。そして彼らによれば、こうした技術は絶滅危惧種の保全、気候変動に強い新たな植物の開発、さらには新しい医薬品の創出などにつながる可能性を秘めているという。

この「タイムトラベル」のプロセスは、近年大きく拡大した、長らく絶滅した生物の遺伝子配列バンクから始まる。そこには、博物館の標本から抽出されたドードーのDNAや、ツンドラの凍結組織から採取されたマンモスのDNAコードも含まれている。そして忘れてはならないのが、骨格に遺伝物質が残され、すでに収集・解読されている数千体の古代人類の存在である。

2025年の夏、ジョージア州立大学の研究者たちは、人間や他の類人猿が数百万年前に失ったある酵素について研究を実施した。この酵素が体内に存在しないことで、痛風を引き起こす要因になり得るものだ。確かに、我々類人猿がその遺伝子を失ったのには進化的な理由があったのかもしれない。しかし研究者たちは、一部の人にとってはそれを取り戻すことで恩恵があるかもしれないと考えている。彼らは遺伝子編集を用いてその酵素を実験室の肝細胞に導入し、すでにこの痛みを伴う関節疾患に対する遺伝子治療の可能性を検討している。

こうした「タイムトラベル」実験は、通常はごく少数の遺伝子に限って実施される。しかし、場合によっては全ゲノムを復元することも可能である。絶滅危惧種クロアシイタチの保全に取り組む団体、リバイブ・アンド・リストア(Revive & Restore)の研究がその一例だ。野生下の個体数がごくわずかとなったこの動物は、極端に狭い遺伝子プールによる絶滅リスクに直面している。
そこで科学者たちは、数十年前に冷凍保存されていた細胞から新たなイタチをクローン化した。現在、この活発な害獣たちは、自らの復活した親族と繁殖する機会を得ている。これらのクローンのゲノムには、もはや野生のクロアシイタチには存在しない数万もの遺伝的変異が含まれており、それこそが種の存続に必要な多様性なのだ。

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