生涯にわたる輸血から解放、地中海性貧血の遺伝子療法が治験に成功
米バイクテク企業のブルーバード・バイオが、遺伝性の血液疾患であるベータサラセミアの患者に対して実施した治験で、遺伝子療法が劇的な成果をあげたことを発表した。今年後半以降に欧州と米国で治療の認可を申請し、治療の提供を開始する計画だ。 by Emily Mullin2018.05.02
遺伝性の血液疾患のための一回きりで終わる実験的治療が、小規模の研究において劇的な成果をあげた。この治療法を開発した企業、ブルーバード・バイオ(Bluebird Bio)にとって非常に画期的な出来事であり、遺伝子療法における最近の一連の成功例におけるもっとも新しいニュースである。遺伝子療法は、ヒトのDNAを修正することによって遺伝性の疾患を治療する手法だ。
ベータサラセミア(地中海性貧血)の患者は、全世界で約28万8000人いる。この病気の患者はヘモグロビン、つまり赤血球中の鉄分を多く含み酸素を全身へ運ぶ役割を持つたんぱく質を、身体が十分作り出すことができない。ところが、ブルーバード・バイオの国際的な治験において、疾患を持つ22人の患者のうち15人が、治療を受けた後、輸血を完全に止めることができた。最も深刻な状態にあった他の7人の患者も、以前より輸血の頻度が少なくて済むようになっている。
医師らは最長3年半に渡って患者たちの経過を観察したが、治療の効果が衰えることはなかった。この成果は4月18日付けのニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Med …
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