KADOKAWA Technology Review
×
アップルとグーグルがタッグ、新型コロナ濃厚接触者を追跡へ
Apple and Google are building coronavirus tracking into iOS and Android

アップルとグーグルがタッグ、新型コロナ濃厚接触者を追跡へ

アップルとグーグルが異例のタッグ。新型コロナウイルス感染症の患者と濃厚接触したかどうかを追跡するソフトウェアを開発し、5月にリリースする予定だ。 by Patrick Howell O'Neill2020.04.14

アップルとグーグルはアイフォーンとアンドロイド端末向けに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を追跡できるソフトウェアを共同開発する。新型コロナウイルス感染症の患者と濃厚接触したかどうかをユーザーに通知するもので、5月にリリースされる予定だ。

医療専門家は、新型コロナウイルス感染症のアウトブレイクにおいては接触状況の追跡が不可欠だと指摘している。接触追跡は韓国などでは成功しており、アップルとグーグルの取り組みは、新型コロナウイルス感染症の広がりを詳しく追跡しようとする米国最大級の試みの1つとなるだろう。伝えられるところによると、重要なのは、ホワイトハウスは国家による新型コロナウイルス監視システムを求めているわけではないということだ。

接触追跡ネットワークの作成には、通常はデバイス間の短距離通信に用いられるBluetoothを使う。ウイルス検査で陽性となったユーザーがスマホアプリにその情報を入力すると、感染者の個人情報は非公開のままで、14日以内に周囲にいた人にアラートが表示される仕組みだ。

アップルとグーグルが開発するソフトウェアは、異なるOSを使用するアイフォーンとアンドロイド端末の間でのデータ交換を可能にするAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)である。ユーザーは、データのやり取りに同APIを採用する保健当局が作成したアプリを別個にダウンロードする必要がある。公衆衛生当局はこのAPIを通じてデータにアクセス可能だが、両社も政府も、個人を特定できるような情報にはアクセスできない。今後、両社は接触追跡ソフトウェアをOSに直接追加し、より多くの人のスマホに標準で搭載されるようにしていく。

この取り組みが効果を発揮するためには、普及率が鍵だ。同様にBluetoothを使用して感染を追跡するシンガポールのアプリ「トレース・トゥギャザー(TraceTogether)」は、人口の12%にあたる国民が使用している。加えて、保健当局はこのAPIを使用できるアプリを開発する必要がある。そして最終的には、このアイデアがうまくいくかどうかは、自分が感染したかどうかが分かる広範囲の迅速かつ信頼性の高い検査がそもそも実施されているかどうかにかかっている。

アップルとグーグルはBluetoothおよび暗号仕様における技術文書のドラフトとフレームワーク文書を公開している。

(関連記事:新型コロナウイルス感染症に関する記事一覧

人気の記事ランキング
  1. Inside the tedious effort to tally AI’s energy appetite 動画生成は別次元、思ったより深刻だったAIの電力問題
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
  3. IBM aims to build the world’s first large-scale, error-corrected quantum computer by 2028 IBM、世界初の大規模誤り訂正量子コンピューター 28年実現へ
  4. What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法
パトリック・ハウエル・オニール [Patrick Howell O'Neill]米国版 サイバーセキュリティ担当記者
国家安全保障から個人のプライバシーまでをカバーする、サイバーセキュリティ・ジャーナリスト。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る