KADOKAWA Technology Review
×
桁外れの中国トップ・インフルエンサー、一夜にして転落
AP
人間とテクノロジー 無料会員限定
How China’s biggest online influencers fell from their thrones

桁外れの中国トップ・インフルエンサー、一夜にして転落

ネット通販で一度に数十億ドル相当を売り上げることもある中国のトップ・インフルエンサーが突然、活動を停止した。消費行動に絶大な影響力を持つインフルエンサーの勢力図が変わりつつある。 by Zeyi Yang2022.06.14

中国で最も影響力のある3人のインフルエンサーが、これほど早く転落するとは、誰にも予想できなかった。

6月3日、6000万人以上のフォロワーを抱えるライブストリーマーのリー・ジャチー(通称オースティン・リー、30歳)は、アリババ傘下のECプラットフォーム「タオバオ(淘宝)」でライブ配信をしていた。だが、戦車の形をしたアイスクリームが画面に映った直後に突然、配信が遮断された。リーは「技術的な問題」によるものだと後に投稿したが、大半の人は、天安門事件が起きた6月4日を暗示するという政府の検閲に引っかかったと考えている。リーは逮捕される様子もなく、アカウントはまだ有効だが、その日以来ライブ配信やソーシャルネットワーク上に姿を見せていない。ファンや観測筋は、再びリーがライブ配信を許可されることはないかもしれないと見ている。

中国のライブ配信EC業界は、1800億ドルを超える巨大産業だ。テレビショッピング風の映像と、スマートフォンが可能にした双方向性や利便性を組み合わせたライブ配信は、2020年には中国国内で3億8800万人の視聴者を魅了した。およそ5年の歳月を経て業界は絶頂期を迎え、リーのようなインフルエンサーは中国の一流セレブに匹敵するほどまでに出世した。こうした人気インフルエンサーは、中央政府からイノベーターや雇用創出者として認められており、一晩で数十億ドル相当をネットで売り上げることでも有名だ。小売業界における「奇跡を呼ぶ人」としての地位のおかげで、インフルエンサーは巨大な多国籍企業も含む小売業者に対して絶大な影響力を持つ。彼らは、どの商品を取り上げ、どれくらいの価格で販売するかの決定権を握っているのだ。

しかしリーのケースと、少なくともほかの2人のケースでは、政府の取り締まりと思われる措置によって、こうしたネット帝国は一夜にして崩壊してしまった。話は2021年後半にさかのぼる。

2021年が終わろうとする頃、タオバオで最多のフォローワー数を誇るライブ配信インフルエンサーのファン・ウェイ(通称ビヤ)と、フォロワー数3位のヂュー・チェンフイ(通称チェリー)は突然、中国杭州の地方税務当局 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. The balcony solar boom is coming to the US 安全性は大丈夫? 米国で「バルコニー発電」がブーム
  2. Three things in AI to watch, according to a Nobel-winning economist AIによる雇用破壊、ノーベル賞経済学者の答えはまだ「ノー」
  3. The era of AI malaise AI閉塞感の時代、私たちはまだ何も分かっていない
  4. Here’s what you need to know about the cruise ship hantavirus outbreak クルーズ船のハンタウイルス感染、パンデミックを心配すべきか?
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る