フラッシュ2022年10月3日
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川崎重工業、ドライ方式水素ガスタービンでNOx排出量を半減
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]川崎重工業の研究チームは、ドライ方式水素ガスタービンで窒素酸化物(NOx)の排出量の大幅削減と、水素と天然ガスの安定的な混焼に成功した。神戸市のポートアイランドに接地する水素コージェネレーションシステム実証プラントで達成した。
水素をガスタービンで燃焼させる際に発生する窒素酸化物を抑えるため、水や蒸気を噴射する「ウェット方式」のタービンが開発されている。ただ、ウェット方式では水分が燃焼エネルギーの一部を吸収してしまうため、燃焼効率を上げにくい課題があった。川崎重工業は、2020年に水分を噴射しない「ドライ方式」のガスタービンを開発し、水素専焼運転に成功。ウェット方式に比べて発電効率をおよそ1ポイント向上させている。
今回は、2020年に開発したガスタービンで採用している「マイクロミックス燃焼技術」を改良し、燃料噴射孔の形状を変更した。加えて、独自技術である「追いだきバーナー」を加えてガスタービンを運転した。その結果、窒素酸化物排出量は2020年のおよそ半分となる35ppmを下回ったという。
さらに、今回新たに開発したガスタービンを使って水素と天然ガスの混焼にも成功した。混焼では、水素の混合率を20%(発生熱量比)まで下げた状態で安定稼働に成功したとしている。川崎重工業は2022年度末までに、今回開発した手法を利用した水素ガスタービンで熱電供給を開始する予定だ。
(笹田)
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