フラッシュ2022年10月10日
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阪大など、人工透析の合併症を招く新たなリスク因子を発見
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪大学、新潟大学、新潟薬科大学、福井大学の研究グループは、人工透析医療の合併症である「透析アミロイドーシス」の新たなリスク因子を発見した。
研究グループは透析患者の血清と健常者の血清を比較。独自に開発したアミロイド誘導装置「HANABI-2000」で分析した。その結果、透析患者の体内は健常者と比較してアミロイドが形成されやすい環境であることが分かった。また、透析患者の血清を1回の透析治療の前後でも比較したところ、透析治療の直後はアミロイド形成リスクが低下していることが分かった。透析患者の血清環境はアミロイド形成リスクが高まっているが、定期的に透析治療を受けることで、リスクを低減できることを示す結果だ。
さらに、血中の血清アルブミンがアミロイド形成を妨げていることも明らかになった。血清アルブミンがβ2-ミクログロブリンと結合し、アミロイドを形成させないようにしていた。このことから、透析患者では血清アルブミンの量が減少してしまうと、血液中でのアミロイド線維形成リスクを高め、透析アミロイドーシスを発症してしまう可能性が高いという。血清アルブミンは栄養状態を示す指標でもあり、栄養維持によって透析アミロイドーシスを予防できる可能性もあるとしている。
研究成果は10月3日、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)誌に掲載された。
(笹田)
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