気候テック10:気候変動に負けない、ペアワイズの遺伝子編集作物
遺伝子編集技術のパイオニアたちが創業したペアワイズは、気候変動に適応できる農作物の開発に取り組んでいる。 by James Temple2025.10.17
- この記事の3つのポイント
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- ペアワイズはCRISPR技術で気候耐性作物を開発し、バイエルやコルテバと協業を開始
- 気候変動による作物栽培困難化に対し、矮性品種開発で密植・高収量化を目指す
- 気候適応食品の市場投入は未達成で、消費者受容性や実用効果は検証段階
ペアワイズは最先端の遺伝子編集技術を用いて、過酷さを増す気候条件に耐え得る作物を生産し、地球温暖化が進む中で増加する人口を養うことに貢献している。
創業7年のこのスタートアップは、画期的なCRISPRツールの発明と改良に貢献したマサチューセッツ工科大学(MIT)のフェン・チャン教授とハーバード大学のデイビッド・リュー教授を含む、複数の遺伝子編集のパイオニアによって共同設立された。
昨年、同社は精密な遺伝子はさみで開発された初の食品である、苦くないマスタードグリーン(カラシナの一種)を米国市場に投入した。現在は世界最大級の植物バイオテクノロジー企業であるバイエル(Bayer)とコルテバ(Corteva)との協業を通じて、気候耐性のある作物の生産に取り組んでいる。
ペアワイズによれば、同社の技術を使うことで、新しい作物特性の導入やその微調整が効率的にできるという。このツールキットには、独自のCRISPR酵素(DNAを切断する技術の一部)に加えて、単一のDNA塩基を変更できる第2世代のCRISPR技術である「一塩基編集」が含まれている。同社の共同創業者であるリュー教授は、研究チームと共に一塩基編集技術を最初に開発した。
初期の取り組みとして、同社は気候変動によって激化する強風やそ …
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