人工知能についていま、
考えなければならないこと
人工知能(AI)に対する脅威がまことしやかにささやかれているが、AIはまだ幼年期にあるに過ぎない。人間が手にする新たなツールが、人間をどのように変え得るかについては慎重に考える必要がある。 by Brian Bergstein2017.11.10
2011年に発行された名著『機械より人間らしくなれるか?:AIとの対話が、人間でいることの意味を教えてくれる(The Most Human Human: What Talking to Computers Teaches Us About What It Means to Be Alive)』(草思社刊)の中で、著者のブライアン・クリスチャンは自身の経験を明かしている。その経験とは、ローブナー賞の名で知られる風変わりな競技会で「人間側」として参加したときのことである。この競技会は、コンピューターの知能の測定法に関するアラン・チューリングの提案に端を発したものだ。
ローブナー賞の競技では、各ラウンドで人間の審査員がコンピューターの前に座って、見えない2つの相手とテキストによるチャットをする。審査員がチャットする相手は、片方が人間で、もう片方がソフトウェア・プログラム、つまりチャットボットである。審査員はどちらがどちらであるかを予想する。人間であると最も誤解させたチャットボットを制作したプログラマーが賞金を得る。ちなみに、もう賞はもう1つあり、クリスチャンの興味を引いたのはそちらの受賞者だ。その賞は、コンピューターに間違えられることが最も少なかった人間、すなわち最も人間らしい人間に与えられるのだ。
チャットボットの開発者が直面している課題は想像がつく。人間が会話をするときの大まかな作法と言語処 …
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