フラッシュ2022年4月28日
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理研など、有限温度では「量子もつれ」が存在しないことを発見
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]理化学研究所と慶應義塾大学の共同研究チームは、量子力学に従う多粒子系(量子多体系)の熱平衡状態では、一般に長距離におよぶ「量子もつれ」が存在しないことを示した。量子機械学習を含む量子コンピューティングに関する手掛かりを多く与えるとともに、有限温度(絶対零度でも無限大でもない一定の温度)で観測されるさまざまな量子的物理現象に関与する量子もつれの分類研究につながりそうだ。
量子力学の理論によると、量子もつれ状態にある粒子ペアは、一方の粒子を状態を測定すると、互いがどんなに離れていても、ただちにもう一方の粒子の状態に影響を及ぼす。量子コンピューターを使った計算には、量子もつれが本質的な役割を果たすため、量子もつれの有限温度における効果を解き明かすことは重要な未解決問題の一つだった。
今回、共同研究チームは2つの領域で定義される標準的な2者間の量子もつれの量を解析的に評価。十分離れている2つの領域間に生じる量子もつれは、有限温度において劇的に小さくなることをつきとめた。この結果は、一般的な量子多体系において、2者間の量子もつれは絶対零度(約-273℃)では存在し得るが、有限温度では、特殊な3者間量子もつれ以外は生き残ることができないことを示している。言い換えると、固体が示す有限温度の量子効果において、特殊な量子もつれのみが存在するはずであることを示唆しているという。
本研究成果は、2022年4月27日にオンライン科学雑誌「フィジカル・レビューX(Physical Review X)」に掲載された。
(中條)
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