フラッシュ2022年5月11日
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超音波モーターの制御を深層強化学習で最適化=東大
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学の研究チームは、深層強化学習法を用いて超音波モーターを最適駆動する制御システムを開発した。温度変化や外乱に対して高い柔軟性を持つ優れた速度制御性を実現することで、遠隔手術等での距離の離れた患者と術者をつなぐ力覚提示デバイスや手術ロボットへ応用できそうだ。
研究チームは、制御システムの構築にあたって、連続値制御に有効な強化学習法である「ソフト・アクター・クリティック(Soft Actor-Critic:SAC)」を採用。超音波モーターへの入力信号を出力するアクター・ニューラルネットワークと、システム評価に用いるクリティック・ニューラルネットワークを構築した。アクター・ニューラルネットワークは、駆動周波数、超音波モーターの温度、回転速度、目標回転速度を入力すると、駆動周波数の増減量を出力するようにした。
このシステムで、目標回転速度をさまざまに変化させながらモーターを制御することで、ニューラルネットワークを訓練し、最終的には非常に柔軟な制御則を得られたという。同チームによると、この手法は超音波モーターの速度制御だけでなく、トルク制御、位置制御、コンプライアンス制御、効率最適化などにも適用できる。
超音波振動を利用してローターを摩擦駆動する超音波モーターは、重量当たりのトルクが大きく、小型化が可能で、高速応答性に優れているのが特徴。ただ、入力電圧信号に対する回転出力の関係に強い非線形性やヒステリシスがあることや、温度上昇に伴うパラメーター変化があることなどから、制御が難しい問題があった。
研究成果は、IEEEアクセス(IEEE Access)に、2022年4月28日付けでオンライン掲載された。
(中條)
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