フラッシュ2022年6月14日
- 知性を宿す機械
AIで「量子指紋」を解読、金属の微細構造を再現=東大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学、上智大学、東北大学の研究グループは、電気抵抗の情報から金属のナノ微細構造を再現することに成功した。金属の電気抵抗はミクロな構造や不純物などの要因で複雑に変化し、この変化を表す情報を「量子指紋」と呼ぶ。量子指紋から元の金属の情報を引き出すことはあまりに複雑で困難と考えられてきたが、深層学習を利用して実現した。
研究では「潜在空間」を中心とする、三叉構造の深層学習モデルを構築した。金属中を流れる電子の波動関数画像と、量子指紋を入力とし、量子指紋から波動関数画像を生成する構造だ。情報量にしてごくわずかな電気伝導度のデータのみから、情報量が大きい波動関数データを生成することは困難だが、潜在空間を経由する構造としたことで、情報の生成に成功した。
研究成果は6月8日、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)誌に掲載された。金属内部の微細な構造を観察する非破壊イメージング技術に応用できる可能性がるという。
(笹田)
- 人気の記事ランキング
- Deepfakes of Chinese influencers are livestreaming 24/7 AI生成インフルエンサーが 24時間稼ぎ続ける 中国ライブコマース新事情
- AI just beat a human test for creativity. What does that even mean? AIが創造性テストで人間に勝利、その衝撃結果が意味すること
- What to know about this autumn’s covid vaccines 新型コロナに秋の流行の兆し、ワクチンの現状は?
- Why we should all be rooting for boring AI 生成AIの「キラキラしない」未来に期待する理由
- Who benefits most from the new covid vaccines? 秋接種が始まった新型コロナ・ワクチン、誰が接種すべきか?