フラッシュ2022年7月25日
「意識」は脳ネットワークのどこで生まれるか? 東大が解明へ前進
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学の研究チームは、マウスの脳内神経ネットワークを独自のアルゴリズムで解析。主観的な体験である「意識」と、神経ネットワークの双方向接続との関係について明らかにした。
「意識」は脳領域同士が成す複雑なネットワークが担っていると考えられているものの、脳のネットワークのどの部分が意識を担うのかは明らかになっていない。研究チームは、多数のノードを接続するネットワークを対象に、双方向の接続が多い順にネットワークを階層的に分解できるアルゴリズムを考案。このアルゴリズムを使うと、一般的なコンピューターを使って数千程度のノードからなるネットワークを現実的な時間で解析できるという。
同アルゴリズムを使ってマウスの全脳のネットワーク(コネクトーム)を解析したところ、強い双方向の接続を持つ領域が、これまでの研究で意識を担っていると考えられていた領域(大脳皮質内と視床内の領域、前障と呼ぶ領域など)で構成されていた。一方で、意識に直接的に寄与しないとされてきた小脳などの領域は含まないことも分かったという。
研究成果は7月21日、「セレブラル・コルテックス(Cerebral Cortex)」誌にオンライン掲載された。
(笹田)
- 人気の記事ランキング
- The Biggest Questions: Are we alone in the universe? 地球外生命体は存在するか? 人類の先入観を超えた探索
- Google DeepMind wants to define what counts as artificial general intelligence 汎用人工知能(AGI)とは何か? ディープマインドが定義を提案
- Huawei’s 5G chip breakthrough needs a reality check 中国テック事情:ファーウェイ「独自チップ」衝撃も厳しい現実
- Text-to-image AI models can be tricked into generating disturbing images AIモデル、「脱獄プロンプト」で不適切な画像生成の新手法