フラッシュ2022年9月4日
-
新型コロナ重症患者のmRNA/マイクロRNAを解析、死亡との関連も
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪大学の研究チームは、新型コロナウイルス感染症の重症患者の全血中にあるメッセンジャーRNA(mRNA)およびマイクロRNAを解析し、健常者と比べてインターフェロン(IFN)シグナルが活性化していることを発見した。インターフェロンは生体内でウイルスなどの病原体や腫瘍細胞など異物の侵入に反応して細胞が分泌するタンパク質で、ウイルスの増殖抑制、免疫調整などの働きをする。
研究チームは、大阪大学医学部附属病院に入院した新型コロナウイルス感染症の重症患者の入院時の全血中からRNAを抽出し、mRNAとマイクロRNAを解析。その結果、インターフェロンに関連するmRNAやマイクロRNAが変化しており、インターフェロン・シグナル伝達経路が活性化されていることが分かった。また、「miR-5196-3p」と「miR-143-3p」の2種類のマイクロRNAの変化が、新型コロナウイルス感染症による死亡例と関連していることも明らかになったという。
研究成果は7月13日、モレキュラー・セラピー・ヌクレイック・アシッド(Molecular Therapy Nucleic Acids)誌に掲載された。今回の研究成果により、新型コロナウイルス感染症が重症化する例とそうでない例の違いが解明できる可能性があるとしている。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- IU35 Japan Summit 2024: Nobuyuki Yoshioka 「量子コンピューターの用途解明、新たな応用へ」吉岡信行
- Why the next energy race is for underground hydrogen 水素は「掘る」時代に? 地下水素は地球を救うか
- Useful quantum computing is inevitable—and increasingly imminent それでもなお、 量子コンピューターが 人類に必要な理由
- AI crawler wars threaten to make the web more closed for everyone 失われるWebの多様性——AIクローラー戦争が始まった