フラッシュ2022年9月10日
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血管を取り囲む脂肪組織が炎症を抑制、動脈硬化を防ぐ=東大
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]血管周囲にある脂肪組織が血管の過剰な炎症を抑制し、動脈硬化を起こりにくくしていることが東京大学の研究チームの研究によって分かった。これまで、血管周囲にある脂肪組織の役割はほとんど分かっていなかったが、今回の発見で非常に重要な役目を果たしていることが明らかになった。
研究チームは、マウスの動脈に傷害を加えた後、血管周囲の組織で「脂肪褐色化」という現象が起こることを網羅的遺伝子発現解析で発見した。脂肪褐色化が起こらないように遺伝子を改変したマウスを用意し、動脈を傷つけたところ、血管炎症と動脈硬化が悪化。反対に、脂肪褐色化を促進するアドレナリンβ3受容体刺激薬を投与すると、血管炎症と動脈硬化が軽減したことから、褐色化が炎症を抑制していることが分かった。
さらに、シングルセル解析で褐色化した脂肪がどのようにして動脈硬化の悪化を抑えているか調べたところ、褐色化した脂肪細胞は「ニューレグリン4」というタンパク質を多く分泌していることが分かった。血管が傷つけられると血管周囲にある脂肪組織が褐色化し、ニューレグリン4を分泌して血管の炎症を抑えていることになる。
研究成果は9月7日、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)誌にオンライン掲載された。血管周囲の脂肪組織の機能を利用して動脈硬化性疾患を治療する方法の開発につながる可能性があるという。
(笹田)
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