フラッシュ2022年9月21日
NIMSがペロブスカイト太陽電池で新手法、発電効率と耐久性を両立
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは、太陽光に対して20%以上の光電変換効率(発電効率)を維持しながら、1000時間以上の連続発電に耐えるペロブスカイト太陽電池(1センチメートル四方)を開発した。この太陽電池は、約100℃でプラスチック上に作製できるため、汎用太陽電池の軽量化も可能になるという。
研究チームは、ペロブスカイト太陽電池の電子輸送層とペロブスカイト層の界面に、フッ素原子を有することで撥水性を持たせたヒドラジン誘導体を導入。これにより、電子輸送層を通じてペロブスカイト層に侵入する水分子を遮断して太陽電池の耐久性を高め、発電ロスの原因となるペロブスカイト表面欠陥の形成を抑えることに成功した。また、正孔輸送層とペロブスカイト層の界面にホスホン酸誘導体を導入することにより、正孔輸送層の欠陥を減らし、太陽電池の効率を向上させた。
ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン太陽電池より製造コストが安く加工しやすい次世代太陽電池として注目されている。しかし、水分との反応により劣化しやすい特徴がある。高い光電変換効率と長期耐久性を両立させるために、いかにして各層と界面での電子と正孔のスムーズな移動を保ちつつ、水分子を遮蔽する界面制御をするかが課題となっている。
研究成果は、アドバンスト・エナジー・マテリアル(Advanced Energy Materials)に2022年8月17日付けで掲載された。
(中條)
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