フラッシュ2022年10月23日
手を握って痛みや恐怖を和らげるロボット、筑波大が開発
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]筑波大学の研究チームは、人が手にはめて握ることで、痛みや恐怖を和らげることができるロボットを開発し、その効果を確認した。注射などの医療処置中の痛みや恐怖を軽減する狙いがある。
研究チームは、被験者に利き手でロボットを握ってもらい、反対側の腕に熱刺激装置から痛みを加えた。その上で感じる痛みや、痛みを加える前後の不安度合いなどをPAS(Pain Assessment Scale)を使った口頭聴取やアンケート、唾液分析で検証した。被験者のうち、66名から得られたデータを分析した。
ロボットは、大人の握りこぶし大の大きさで、柔らかな毛皮で覆われている。3つの小型エアバッグを内蔵しており、外付けのポンプで空気圧を調節することで、3つそれぞれのエアバッグを自在に膨張収縮させることが可能だ。さらに、人が握る動作を検知する圧力センサーも内蔵している。人が握ったときに、手の甲側と側面にあるエアバッグを膨張させて、握られていると感じさせることも可能だという。
分析の結果、口頭聴取の結果から、ロボットを握っているときは痛みが有意に減少していた。さらに、ユーザーが握ったときにロボットが握り返す用にした場合では、唾液中のオキシトシンが減少する傾向が認められた。オキシトシンはストレス・レベルの低下に合わせて減少する傾向があるホルモンだ。
研究成果は10月17日、サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)誌に掲載された。
(笹田)
- 人気の記事ランキング
- Why it’s so hard for China’s chip industry to become self-sufficient 中国テック事情:チップ国産化推進で、打倒「味の素」の動き
- How thermal batteries are heating up energy storage レンガにエネルギーを蓄える「熱電池」に熱視線が注がれる理由
- This US startup makes a crucial chip material and is taking on a Japanese giant 知られざる半導体材料の巨人 「味の素」の牙城を狙う 米スタートアップの勝算
- Researchers taught robots to run. Now they’re teaching them to walk 走るから歩くへ、強化学習AIで地道に進化する人型ロボット