フラッシュ2022年10月26日
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アインシュタインの100年越しの宿題、相対論的電場を直接実証
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]大阪大学などの共同研究チームは、光の99.99%の速度で移動する電子ビームの周りに形成される電場の時空間分布を計測。100年以上前にアインシュタインが予言した「電磁気における特殊相対性理論」を世界で初めて直接的に実証することに成功した。
研究チームは今回の測定にあたり、電気光学検出と呼ばれる、テラヘルツ物理学(テラは10の12乗)で用いられてきた電場の超高速計測手法を採用した。同手法により、線形加速器で生成された光に近い速度で等速直線運動をする電子ビーム周りの電場の時空間分布を、ピコ秒(ピコは10のマイナス12乗)の時間領域で計測。相対論的クーロン電場の平面状収縮を可視化することで、電磁ポテンシャルのローレンツ変換を実証した。
さらに、金属境界を通過した電子ビーム周りの相対論的電場分布の発展を調べることで、平面的な電場の収縮がどの様に形成されるかも解明。リエナール・ヴィーヘルト・ポテンシャルと呼ばれる、電磁ポテンシャルのローレンツ変換とは異なる手法で導出された相対論的電場を記述する理論を実証した。
相対性理論は現代物理の基礎であり、特殊相対性理論が電磁気において成り立つことは暗に正しいとされてきた。しかし、相対論的電磁気の重要な特徴であるクーロン電場の収縮の直接実証はされておらず、今回の結果は従来の間接的な検証とは一線を画すという。研究成果は、英国学術雑誌のネイチャーフィジックス(Nature Physics)のオンライン版に、2022年10月21日付けで公開された。
(中條)
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