フラッシュ2022年11月20日
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生物工学/医療
オミクロンBA.4.6系統には既存治療薬の一部が有効
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学、国立感染症研究所、ウィスコンシン大学、国立国際医療研究センターの研究グループは、新型コロナウイルス・オミクロン株の「BA.4.6」系統に対する、既存の治療薬の効果を検証した。BA.4.6系統は米国や欧州を中心に感染を広げている。
研究グループは日本国内で承認を受けている3種類の抗体薬(カシリビマブ・イムデビマブ、ソトロビマブ、チキサゲビマブ・シルガビマブ)と、3種類の抗ウイルス薬(レムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル・リトナビル)に加えて、抗体薬「ベブテロビマブ」がBA.4.6系統に有効かどうかを、患者から分離したウイルスを使用して確認した。
その結果、4種類の抗体薬のうちベブテロビマブのみが高い感染阻害効果を示した。効果は従来株に対する効果と同程度だという。そして3種類の抗ウイルス薬は、すべてがBA.4.6系統に対して、従来株に対する効果を同程度の高い増殖抑制効果を示した。
さらに、mRNAワクチンの接種を受けた人と、BA.2系統にブレイクスルー感染してしまった人の血漿が、BA.4.6系統の感染を阻害するかどうかを確認した。その結果、上述2種類の血漿のBA.4.6系統に対する感染阻害効果は従来株に対する感染阻害効果よりも低いことが分かった。
研究成果は11月16日、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(New England Journal of Medicine)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
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