フラッシュ2022年11月21日
二酸化炭素の常圧220℃アルコール電解合成に初めて成功=北大
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]北海道大学の研究チームは、常圧220℃という温和な反応条件において、二酸化炭素をメタノールやエタノールに電極触媒上で直接変換することに初めて成功した。さらに、同触媒を用いて、液体燃料や石油化学製品の原料となるエチレンやプロピレンを、二酸化炭素から直接合成できることも確認した。
研究チームは、固体酸であるリン酸塩電解質が良好な水素イオン伝導度を示す220℃が二酸化炭素の反応に適した温度であるため、適切な電極触媒を用いることで多様な有用物質の直接合成が可能になると着想した。そこで、銅、銅とルテニウム、銅とパラジウムの粉末とジルコニアまたは二酸化ケイ素粉末を混合して電極触媒とし、常圧220℃で二酸化炭素の電解試験を実施。いずれの触媒でも、一酸化炭素やメタンのほかに、メタノール、エタノール、エチレン、プロピレンなどを直接合成できることを確認した。
これまでにも作動温度が100℃未満の固体高分子電解質や液体電解質、あるいは、作動温度が500℃以上の固体酸化物電解質を用いた二酸化炭素の電気化学還元は多数報告されている。だが、前者は反応速度が小さい、後者は生成物が一酸化炭素やメタンに限られるという課題を抱えており、炭素数の多い炭化水素やアルコール類の高速な直接合成が望まれていた。
研究論文は、アイサイエンス(iScience誌)に2022年11月9日付けでオンライン掲載された。
(中條)
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