フラッシュ2022年11月25日
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東大、心筋梗塞後の慢性心不全の発症を抑える遺伝子を発見
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学の研究チームは、心筋梗塞発症後に起こる慢性心不全を抑える遺伝子を発見した。心筋梗塞はカテーテル治療の普及で救命率が上がっているが、救命に成功した後に慢性心不全に移行する例が少なくない。そして慢性心不全を発症すると予後は悪化する。
研究チームは1つ1つの細胞が含有するすべてのメッセンジャーRNAを解析するシングルセル解析と、組織内の領域ごとに遺伝子発現を解析する空間的遺伝子発現解析の2種類の手法を使用して、心筋梗塞発症後の心臓を調べ、心臓の各領域に存在する細胞で時系列的に働く遺伝子の変化を網羅的に調査した。
その結果、心筋梗塞発症翌日の心臓で、梗塞が発生した領域の周辺に存在する心筋細胞で特異的にメカノストレス応答遺伝子が活性化していた。メカノストレス応答遺伝子の中でも代表的なものである「Csrp3」に着目して、心筋梗塞発症後のマウスの心臓で働きを活性化、抑制させてみたところ、活性化しているときは心機能の悪化が抑えられていた。
研究成果は11月18日、ネイチャー・カーディオヴァスキュラー・リサーチ(Nature Cardiovascular Research)誌に掲載された。
(笹田)
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