フラッシュ2022年12月2日
「スマホ首」症状、頭部の位置を変えただけでは改善せず
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]金沢大学、中京大学、広島大学、マーケット大学、トヨタ紡織の研究グループは、近年「スマホ首」や「ストレートネック」として注目されている「頭頸部前方位姿勢(Forward Head Posture:FHP)」が起こす症状の原因が、僧帽筋上部線維の筋活動の異常にあることを解明した。
研究グループは、習慣的に頭頸部前方位姿勢を取っている若年者と、頭頸部の位置が正常な若年者を対象に、3種類の異なる座位姿勢(安楽な姿勢、頭頸部を前に出した姿勢、頭頸部を後ろに引いた姿勢)をそれぞれ30分ずつ保持させて、姿勢保持の際の頭頸部の筋活動と疲労の関係を調べた。また、姿勢保持中は高密度表面筋電図法で僧帽筋上部線維の筋活動を計測した。被験者の主観的な疲労の評価にはVisual Analogue Scale(VAS)を使用した。
実験の結果、習慣的に頭頸部前方位姿勢を取っているグループは、正常なグループと比較して、3種類すべての姿勢で疲労の訴えが強かった。正常なグループでは、安楽な姿勢を取っているときが最も疲労の訴えが少なかったが、習慣的に頭頸部前方位姿勢を取っているグループでは、どの姿勢でも疲労の度合いは変わらなかった。習慣的に頭頸部前方位姿勢を取っているグループでは、僧帽筋上部線維に過剰な筋活動が発生していることも分かった。
習慣的に頭頸部前方位姿勢を取っているグループでは、頭頸部の位置を変えるだけでは疲労や筋活動は変化せず、僧帽筋上部線維の筋活動の異常を是正することが重要であることが分かった。
研究成果は11月24日、サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
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