フラッシュ2022年12月15日
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地球の揮発性物質の起源を解明=「はやぶさ2」チーム
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京工業大学、北海道大学、東京大学、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所などの共同研究チームは、日本の小型探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から持ち帰った銅および亜鉛の同位体組成を測定。太陽系外縁部に由来するリュウグウ的な物質が地球にも存在し、それは地球質量の約5%に相当することを突き止めた。
研究チームは今回、はやぶさ2が採取したリュウグウ試料を水溶液化し、パリ・シテ大学地球物理学研究所のマルチ検出機付きICP質量分析装置により銅および亜鉛の同位体組成を精密測定した。その結果、リュウグウとイヴナ型炭素質隕石の分析値が一致し、リュウグウとイヴナ型炭素質隕石の銅および亜鉛の同位体組成が他の炭素質隕石と明確に異なることを明らかにした。
この測定結果は、リュウグウのチタン、鉄、クロムの同位体分析から得られた結論、「リュウグウとイヴナ型炭素質隕石が、他の隕石とは全く異なる場所で生まれた」という考察と整合するという。さらに、リュウグウと地球の亜鉛同位体組成を比較した結果、地球に存在する亜鉛の約30%はリュウグウ的物質に由来すると推察。このことから、リュウグウが生まれた太陽系外縁部に存在していた物質が地球の形成にも寄与しており、その量は地球質量の約5%であると予想されるとしている。
イヴナ型炭素質隕石は全ての隕石の中で最も始原的かつ太陽に最も近い化学組成を持つと考えられている。試料の初期分析により、「リュウグウ」はイヴナ型炭素質隕石に似た化学組成・同位体組成を持つことが明らかとなっていた。しかし、これまでに測定された同位体組成は難揮発性元素(チタン、クロム、鉄)や揮発性の高い元素(酸素など)であり、地球の形成過程を議論する上で重要な中程度の揮発性を持つ元素(銅や亜鉛)に関しては、同位体組成に関する情報がなかった。
研究成果は、ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)に2022年12月12日付けでオンライン掲載された。
(中條)
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