フラッシュ2023年1月10日
-
ナトリウムイオン全固体電池の高性能な電極形成法を開発=九大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]九州大学と名古屋大学の研究グループは、ナトリウムイオン全固体電池の高性能な電極を作製する方法を開発した。
研究グループは、セラミック電解質の材料としてナシコン型Na3Zr2(SiO4)2(PO4)(略称:NZSP)を、電極の材料としてナシコン型Na3Ti2(PO4)3(略称:NTP)を選んだ。電池性能を向上させるためには、焼結によって電極材料と電解質材料を緻密化させる必要があるが、⾼温にさらすことで意図しない反応発生し、特性を損ねてしまう課題があった。そこで、研究グループはNTPで一旦ガラスを作り、その粉末を固体電解質に塗布して加熱する方法を採用した。これにより、比較的低温で材料を緻密に密着させることができる。粉末の塗布には、比較的利用しやすいスピンコート法を採用。1マイクロメートルほどの薄さでの塗布を目指し、薄型化にも取り組んだ。
こうして出来上がった固体電解質と電極を接合したもの(半電池)は、2.2Vで充放電ができ、優れた繰り返し充放電特性を発揮した。マイナス20℃の低温環境でも容量の低下はあるものの、一般的なリチウムイオン電池に比べて優れた温度特性を⽰したという。
研究成果は12月28日、ACSアプライド・エナジー・マテリアルズ(ACS Applied Energy Materials)誌に掲載された。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- The coolest thing about smart glasses is not the AR. It’s the AI. ようやく物になったスマートグラス、真価はARではなくAIにある
- A tiny new open-source AI model performs as well as powerful big ones 720億パラメーターでも「GPT-4o超え」、Ai2のオープンモデル
- Geoffrey Hinton, AI pioneer and figurehead of doomerism, wins Nobel Prize in Physics ジェフリー・ヒントン、 ノーベル物理学賞を受賞
- Two Nobel Prize winners want to cancel their own CRISPR patents in Europe クリスパー特許紛争で新展開 ノーベル賞受賞者が 欧州特許の一部取り下げへ