フラッシュ2023年2月22日
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生物工学/医療
うつ病診断支援、fMRIによる新たな客観的手法を検証=広大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]広島大学、国際電気通信基礎技術研究所、島根大学などの研究グループは、機能的磁気共鳴画像(fMRI)に基づくうつ病の客観的診断支援法に関する新たな研究結果を発表した。この手法は、以前に同グループが開発したもので、うつ病の診断を補助するものだ。今回の研究では、新規に収集されたデータを用いてその信頼性と汎化性を検証し、うつ病診断におけるその有効性を再確認した。
研究では、うつ病患者47名と健常者39名の安静時のfMRI画像を用いて分析が行われた。参加者の抑うつ症状は担当医の臨床診断に加えて、精神疾患の迅速診断のための構造化された面接法である「Mini-International Neuropsychiatric Interview」で確定し、抑うつ症状の自己評価式質問票である「Beck Depression Inventory-II」の日本語版で重症度が評価された。
fMRIデータには、誤差補正の前処理が施され、全脳の関心領域に基づく詳細な分析が行われた。その結果、うつ病確率と抑うつ症状の重症度との間に相関が見られ、新規データにおいてもうつ病診断法の前向き汎化性が確認された。この診断法の再テスト信頼性は中程度であることが示され、うつ病と判断される基準を満たす場合の判別制度は69.7%(感度72.1%、特異度66.7%)であった。
この成果は、うつ病の早期診断と治療介入に貢献する可能性がある。研究結果は2月12日、「情動障害ジャーナル(Journal of Affective Disorders)」誌に掲載され、現在、広島市内の8医療機関と共同で臨床現場での実用化に向けた研究が進められている。
(笹田)
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