フラッシュ2023年4月28日
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悪性中皮腫オルガノイド、イヌの胸水から作出に成功
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京農工大学、山口大学、北里大学、イスクラ産業の研究グループは、悪性中皮腫に罹患したイヌの胸水から、悪性中皮腫オルガノイドを作り出すことに成功した。悪性中皮腫は哺乳類の体腔や臓器の表面を覆う中飛細胞ががん化する病。多くの哺乳類が罹患するが、化学療法の効果はあまり期待できない。
悪性中皮腫に罹患すると、体腔内にがん細胞を含む多量の胸水や腹水が貯留するが、一般的ながんとは異なりがん細胞の塊を形成することが非常に少なく、あっても非常に小さいため、研究に利用することが困難だった。このことが、悪性中皮腫の治療薬開発の障壁の1つとなっている。
研究グループは、これまでイヌネコのさまざまな上皮系がんの研究で実績を積んできた三次元オルガノイド培養法を利用し、胸水サンプルからイヌの悪性中皮腫オルガノイドを作り出すことに成功。併せて、このオルガノイドモデルを二次元培養した悪性中皮腫細胞も作成した。
作成したオルガノイドの微細構造を電子顕微鏡を使って観察したところ、オルガノイドが元々の中皮細胞特有の構造と悪性のがんの特徴を併せ持っていることを確認。中皮腫マーカーの発現、薬剤感受性試験、遺伝子解析をオルガノイドと二次元培養した悪性中皮腫細胞の両方を対象に実施した結果、どちらも抗がん剤に対する感受性が乏しいことが共通していた。一方、高濃度の薬剤に対してはオルガノイドの方が強く抵抗することも分かった。中皮腫マーカーの発現パターンも異なり、オルガノイドでは細胞同士の接着分子のうち、特にEカドヘリンの発現が顕著に増加していた。このことから、三次元オルガノイド培養法でオルガノイドを培養することで、細胞同士が接着する上皮様の性質を維持した構造を再現できることが明らかになった。
研究成果は4月6日、バイオメディシン・アンド・ファーマコセラピー(Biomedicine & Pharmacotherapy)誌にオンライン掲載された。悪性中皮腫は希少で難治性のがんとして知られている。今回の研究成果を基に、さらにイヌ悪性中皮腫オルガノイドの機能解析を進めることで、新たな治療法開発につながる可能性がある。さらには、ヒト悪性中皮腫の研究と治療法開発に役立つ可能性も考えられるという。
(笹田)
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