フラッシュ2023年5月24日
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フラーレンに迫る電子受容能を持つ有機材料を開発=京大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]京都大学などの共同研究チームは、フラーレンC60の1次元部分構造をもつ新たな有機材料の開発に成功。フラーレンに迫る電子受容能を持つことを実証した。今回見い出した分子設計手法は、炭化水素骨格のみで優れた電子受容性を実現できる新手法であることから、有機半導体や太陽電池、電池、触媒など、電子の輸送や授受がかかわる様々な機能性材料の開発につながることが期待される。
フラーレンは多数の炭素原子からなる球状分子であり、他の多くの有機材料とは異なり、多くの電子を受け入れても分解しないという性質を持つため、優れた電子受容体として有機エレクトロニクス材料への応用が検討されてきた。フラーレンの持つこの性質は同分子特有の球状構造に起因すると長らく考えられてきたが、研究チームは、五角形の部分構造が重要であると発想を転換。フラーレンC60と五角形の連結様式が同じ1次元状の有機分子「オリゴビインデニリデン」を設計し、合成に成功した。
研究チームは、5角形の炭素骨格が1次元状に連なった構造を持つこの分子は、C60より対称性がはるかに低く、個々の炭素原子も平坦な構造であるにもかかわらず、最大で5角形の数と同数までの電子を受容できることを実証。この成果を通して、フラーレンの電子受容体としての性質の根本を支えているのは5角形の部分構造であることを明らかにした。
研究論文は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に2023年5月15日付けでオンライン公開された。
(中條)
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