フラッシュ2023年8月3日
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音を感じる新素材と、材料物性を音で操る方法を開発=東大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学とサンパウロ大学などの共同研究チームは、音を感じて力学物性が変化する新素材「感音性物質」の化学と高密度焦点式超音波(HIFU)の工学を融合し、架橋高分子材料内部の力学物性をピンポイントで操り、解体・再加工・再利用する新たな方法論を開発した。架橋高分子材料の解体および力学物性制御を「音」によって実現した。
我々の身の回りの様々な高分子材料に施された架橋(ポリマー同士を連結する結合)は、材料の長期的な使用を許す一方で、役目を終えた材料の再資源化を妨げることが問題となっている。研究チームは今回、この課題を解決するための外部刺激として「音」に着目。架橋材料内部を局所的かつ自由自在に制御できる、音を感じる材料(感音性材料)の開発と、感音性材料の物性を音で操る方法論に着手した。
研究チームは、ヘキサアリールビイミダゾール(HABI)を鎖中に持つ架橋高分子が、高密度焦点式超音波(HIFU)に極めて良好に応答する感音性材料であることを発見。「液槽光重合」方式の3Dプリンティングにより感音性材料からなる3次元造形物を作製し、独自開発のHIFUデバイスでこの造形物の中心が焦点となるようHIFUを照射すると、造形物の貯蔵弾性率が顕著に低下することがわかった。さらに、HIFUの出力を上げると、造形物にHABI由来の動的共有結合が含まれているか否かによらず、材料内部を遠隔的に破壊・解体できることも分かった。
今回の研究成果は、役目を終えた架橋高分子材料を廃棄することなく、必要な部分だけを解体・加工・再利用する道を開き、持続可能な社会の形成に寄与することが期待される。研究論文は、アドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials)のオンライン版に2023年7月21日付けで掲載された。
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