フラッシュ2023年8月7日
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気候変動/エネルギー
京大など、CO2のみを取り込む多孔性材料
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]京都大学、大阪府立大学、大阪公立大学、高輝度光科学研究センター、中国・同済大学、中国科学院の研究グループは、二酸化炭素(CO2)のみを選んで取り込むフレキシブル多孔性材料を開発した。CO2を分離回収する技術の中でも、多孔性材料を利用した手法はエネルギー効率が高いことから注目されているが、先行研究は二成分混合ガスを対象としたものが多く、多数の類似成分ガスから単一成分を識別して取り込む多孔性材料に関する研究例はめずらしいという。
研究グループは、構造柔軟性を持つフレキシブル多孔性配位高分子(PCP:Porous Coordination Polymer あるいは MOF:Metal-Organic Framework)に着目。PCP/MOFの中でも、ガス分子の吸着に応答して構造を柔軟に変化させて取り込む性質を持つ「フレキシブルPCP/MOF」でCO2のみを取り込むことを考えた。フレキシブルPCP/MOFは、ガスが吸着する前は細孔が閉じており、一定の圧力をかけると細孔を拡大してガスを取り込む特性を持つ。しかし、狙ったガス分子だけでなく、ほかのガスも取り込みやすいのが課題だった。
この課題を解決するために、コバルトイオン、ジ(4-ピリジル)グリコール、ピリジンジカルボン酸を原料として、新種のフレキシブルPCP/MOFを合成した。このフレキシブルPCP/MOFは、CO2が吸着するとすき間が広がってCO2を取り込む特性を持つ。CO2に類似するN2(窒素)、CH4(メタン)など9種類のガスを吸着させてみたが、ほどんど吸着しなかった。また、CO2を含有する混合ガスからCO2のみを選んで取り込むことも明らかになったという。
研究成果は7月15日、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
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