フラッシュ2023年10月10日
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気候変動/エネルギー
有害物質を含まない太陽電池向けシリコン代替材料=東北大
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東北大学、英インペリアル・カレッジ・ロンドン、英バーミンガム大学の研究グループは、新しい太陽電池材料を発見した。太陽電池の材料として一般的なシリコンは、太陽光を吸収する能力が低いため、代替材料の研究が続いている。代替材料としてヒ化ガリウム、CIS(銅、インジウム、セレン)、テルル化カドミウム、ハロゲン化鉛系ペロブスカイトなどの材料が実用化されたが、いずれの材料もヒ素、セレン、カドミウム、鉛などの有害な元素を含有しており、発電性能が高く、なおかつ無害で安価な太陽電池材料が求められていた。
研究グループはセレンに注目。セレンの光電変換効率は6.5%と、現在実用化されているほかの材料に比べると明らかに低いが、その理由としてバンドギャップが1.8eVと、太陽電池の最適値である1.5eVよりも大きい点が挙げられる。そこで研究グループはエレメントミューテーション法を利用して第16属元素であるセレンを第15属元素(ニクトゲン)に置き換え、足りない元素を補うために格子間にアルカリ金属を導入した。
第一原理計算の結果、アルカリニクトゲン化合物が適切なバンドギャップを持ち、質量が軽く、光吸収係数も高い太陽電池材料として有望なものであることが判明した。いくつかの物質が候補として挙がったが、その中でもリン化ナトリウムが無害で安価な元素で構成されている上、ドーピングによってp型とn型の両方の半導体を作製できることが分かった。
研究グループは実際にリン化ナトリウムを合成し、不活性ガス雰囲気で分光測定してバンドギャップを求めた。その結果は1.66eVとなり、予測値である1.62eVに近い値となった。この結果から、リン化ナトリウムをはじめとするアルカリニクトゲン化合物が太陽電池材料として有望であることが判明した。
研究成果は10月3日、PRXエナジー(PRX Energy)誌にオンライン掲載された。研究グループは、さらに多くの候補物質を探索していくとしている。
(笹田)
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