フラッシュ2023年11月21日
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生物工学/医療
食事と栄養に関する日本のネット情報、根拠不明が多数
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京大学、豪モナシュ大学、英アルスター大学などの研究グループは、日本語で書かれた食事と栄養に関するオンライン情報を分析。編者や著者の明記がない、広告を含む、参考文献の記載がないなどの問題点を明らかにした。
研究グループはまず、日本語で書かれた食事と栄養に関するオンライン情報をグーグル・トレンドを使って抽出するために、関連キーワードを特定した。関連キーワードの特定では最初に638のシード・ターム(基となる用語)を特定し、約1500組の「検索キーワード」と「関連キーワード」を特定。約1500組の上位約10%の検索キーワードと関連キーワードの組み合わせを特定し、107の「検索に用いるキーワード」を特定した。その後、特定したキーワードを使ってグーグル検索で関連するオンライン情報を抽出した。
抽出した食事と栄養に関するオンライン情報を合計1703件の中では、「食べ物・飲み物」(22.9%)をテーマとしたものが最も多く、次いで「体重管理」(21.5%)、「健康効果」(15.3%)、「食」(13.8%)という結果になった。情報の発信源として最も多かったのは「IT企業・マスメディア」(27.8%)で、次いで「食品企業(生産・小売)」(14.5%)、「その他」(13.9%)、「医療機関」(12.6%)となった。
これらのオンライン情報を精査すると、編者または著者の存在を明示しているものは半数以下(46.4%)にとどまった。また、半数以上(57.7%)のオンライン情報には1種類以上の広告が掲載されており、参考文献の引用があるオンライン情報は40.0%にとどまった。
オンライン情報のテーマや発信源は、編者または著者の存在を明示していることや、広告が付随していること、参考文献の有無といった特性との間に統計学的に有意な関連があった。例えば体重管理をテーマとしたオンライン情報には、編者や著者の存在の明示(57.9%)、広告の付随(74.6%)が多い一方で、参考文献の引用(29.0%)が少ない傾向があった。
研究成果は11月16日、JMIRフォーマティブ・リサーチ(JMIR Formative Research)誌に掲載された。
(笹田)
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