フラッシュ2023年12月11日
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生物工学/医療
従来品の7倍の性能、環境毒性低いMRI造影剤=東工大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]東京工業大学、京都大学、量子科学技術研究開発機構の研究グループは、性能を従来品の7倍に高め、環境毒性を抑えたMRI造影剤を開発した。造影MRIの撮影には、環境毒性が高い重金属であるガドリニウムが使われているが、人体への副作用や体内残留のリスクがあり、自然環境への悪影響も懸念されている。
研究グループは高分子精密合成の技術を活用し、高分子1分子内での自発的な折りたたみを駆動力として形成する新規高分子造影剤「SMDC-Gd」を開発。SMDC-Gdは現行のMRI造影剤に比べて7倍の性能を発揮し、撮影に必要な投与量の大幅な削減や、腫瘍などの検出感度の向上も確認したとしている。
この性能向上は、自発的な折りたたみに伴うナノ環境下での金属分子回転速度の制御に起因するもので、研究グループはこの効果を「フォールディング効果」と命名した。SMDC-Gdは、疾患部位によく集積し、腎臓から速やかに排泄される上、脳に集積しないなど、従来品に比べて安全性が高い。また、ガドリニウム使用量を少量に負われることができるため、自然環境への悪影響も抑えられるとしている。
研究グループは、SMDC-Gdを使って腫瘍の中性子捕捉療法を試みた結果、中性子照射のみの群や、MRI造影剤を投与した群に比べて統計的に有意な治療効果上昇を確認した。
研究成果は11月29日、アドバンスト・サイエンス(Advanced Science)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
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