フラッシュ2023年12月12日
-
気候変動/エネルギー
過去6500万年間の気候とCO2濃度の復元記録を再検証
by hitoshi_sasada [hitoshi_sasada]北海道大学など16カ国・80人以上の研究者が参加する国際研究グループは、過去6500万年間の気候とCO2濃度の復元記録を最新の知見を活かして再検証した。これまでに発表済みのさまざまなデータを整理し、新たに更新された知識に基づいて個々のデータの信頼性を3段階で評価。最新の知見に基づいて大気CO2濃度復元値を校正し、従来の定説とは一部異なる結果が得られたという。
検証の結果、これまでは大気CO2濃度が比較的低いとされていた約6600万年前から約5500万年前の時期は、実際には大気CO2濃度がかなり高く、600〜700ppm程度であったことが分かった。また、最も暑かった時期は約5000万年前であり、当時の大気CO2濃度は1600ppmまで急上昇していること、気温は現在に比べて12℃も高かったという従来の定説が妥当であることが分かったという。加えて、約 1600 万年前が、大気CO2濃度が現在よりも常に高い約 480ppm だった最後の時期であり、1400 万年前までには、現在の人為的なレベルである 420ppm まで下がったことが明らかになった。
研究チームはまた、6600万年間の大気CO2濃度と気温の関連から、大気CO2濃度が倍増したときの気温変化量を指す「気候感度」を長期的な応答時間を持つ植生や氷床などの応答まで考慮して算出した「地球システム感度」を推定した。その結果、大気CO2濃度が倍増すると、地球の気温が5〜8℃温暖化すると判明した。これまで、この値は1.5〜4.5℃と考えられており、過小評価であった可能性が示されたことになる。今回判明したこの値は、長期的にさらに温暖化が進行し、緩慢で連鎖的な影響が何千年も続くことを意味するという。
研究成果は12月8日、サイエンス(Science)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- What comes next for AI copyright lawsuits? AI著作権訴訟でメタとアンソロピックが初勝利、今後の展開は?
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #33 バイブコーディングって何だ? 7/30イベント開催のお知らせ
- Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
- Namibia wants to build the world’s first hydrogen economy 砂漠の国・ナミビア、 世界初「水素立国」への夢
- Why the US and Europe could lose the race for fusion energy 核融合でも中国が優位に、西側に残された3つの勝機
- Google’s electricity demand is skyrocketing グーグルの電力使用量が4年で倍増、核融合電力も調達へ