フラッシュ2023年12月18日
-
コンピューティング
43量子ビットの高速シミュレーションができるボード=慶應大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]慶應義塾大学、筑波大学の共同研究チームは、40量子ビット(キュービット)以上の状態ベクトル型の量子コンピューター・シミュレーションを実行できるボードを開発した。比較的安価で、設置もしやすいため、研究室などにおいても最大43量子ビットのシミュレーションが可能になるという。
研究チームが開発したボードは、書き換え可能なLSIであるFPGA(Field Programmable Gate Array)にSSD方式の8テラバイトSATA規格のディスクを32枚直結。ハードウェアで直接量子ビット操作に相当する演算を実施することで、最大43量子ビットのシミュレーションを単独で実行できる。卓上に簡単に設置でき、ボードとSATAディスク代を含めて400万円程度だという。
同チームは、大阪大学などが開発したオープンソースの量子コンピューター・シミュレーション・ソフト「Qulacs(キューラクス)」を元に、主要なゲート操作に相当する演算を実行するハードウェアを開発した。40量子ビットのシミュレーションが3時間程度で実行できる。FPGAにSATAディスクを直結したボードは前例がなく、エッジコンピューティングにおけるビッグデータの処理など、量子コンピューターのシミュレーション用途以外でも利用できるとしている。
開発したボードは2023年12月11~14日にパシフィコ横浜で開催された国際会議FPT'23に展示されたほか、12月18~21日にシンガポールで開催される国際会議MCSoC-2023で、デモンストレーションと論文発表が予定されている。
(中條)
-
- 人気の記事ランキング
-
- This startup is about to conduct the biggest real-world test of aluminum as a zero-carbon fuel アルミ缶をクリーン燃料に、 米スタートアップが作った 「新エンジン」を訪ねた
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #35 Soraの問題点とは? AI時代の知財を考える11/12緊急イベント
- What a massive thermal battery means for energy storage 1000℃のレンガで熱貯蔵、世界最大の蓄熱電池が稼働
- An AI adoption riddle AIの試験運用は失敗続き、それでもなぜ投資をやめないのか?
- I tried OpenAI’s new Atlas browser but I still don’t know what it’s for 誰のためのブラウザー? オープンAI「Atlas」が残念な理由
