フラッシュ2024年2月17日
-
生物工学/医療
進行がん患者の緩和ケア、AIでスクリーニング=名古屋大ら
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]名古屋大学などの研究チームは、進行がん患者を対象に緩和ケアの必要性を判定するAIアルゴリズムを開発した。現在のところ、緩和ケアの必要性を判断するには、患者から精神的な辛さや症状の辛さなどを10段階で聞き取り、専用の用紙に記入する「苦痛スクリーニング」を実行し、その結果を専門家が判断する必要がある。しかし、苦痛スクリーニングには患者1人当たり60分ほどの時間がかかる上、その結果を判断する専門家が少ないのが課題だ。
研究チームは、問診や血液検査など、日常の診察や診療から収集できる情報から、緩和ケアの必要性を自動的に判定するAIアルゴリズムの開発に挑んだ。まず、名古屋大学医学部附属病院が持つデータから、561名の進行がん患者の診療情報や検査結果、苦痛スクリーニングと問診の結果を抽出し、緩和ケア専門家による緩和ケアの必要性の判定結果と合わせてAIアルゴリズムに学習させた。
その結果、専門家が緩和ケアの必要があると判定した患者を取りこぼさずに特定する感度が95.8%に達し、既存の苦痛スクリーニングによる判定(80.7%)よりも優れた性能を発揮した。特異度(実際に必要性が低い患者を、必要性が低いと正しく判定した割合)や、陽性的中率(必要性が高いと判定した患者のうち、実際に必要性が高い患者の割合)の値も良好だとしている。また、今回開発したAIアルゴリズムでは、予測で重要な役割を果たす変数を確認することで、判定結果に至る過程の説明が可能だという。
研究チームは、開発したAIアルゴリズムを電子カルテに組み込むことで、医師や看護師が緩和ケアの必要性が高まっていることをすぐに確認でき、患者に対する緩和ケアの説明や、緩和ケアチームとの連携を必要に応じてすばやく開始できるとしている。
研究成果は1月11日、ジャーナル・オブ・ペイン・アンド・シンプトム・マネジメント(Journal of Pain and Symptom Management)誌にオンライン掲載された。
(笹田)
-
- 人気の記事ランキング
-
- Can the US battery market untangle from China? 送電網の蓄電池から中国製を締め出し、米国が払う「自立」の代償は
- Promotion How AI could reshape Japan’s white-collar workforce 【10/6開催】AIで浮いた人材、次の一手は地方に——冨山和彦氏ら登壇
- This geneticist’s age-reversal tech could help restore sight 失明マウスの視力回復に成功、若返りブームの震源となった研究者
- Donated livers can be made biologically younger 「若返る」提供肝臓、機械灌流が生物学的年齢を逆戻りさせる
- Meet a mouse whose brain cortex is made up of human cells 脳容積の半分がヒト細胞に、スタンフォード大が作った「異種皮質マウス」
