フラッシュ2024年5月3日
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気候変動/エネルギー
活発な林業活動が森林の炭素隔離量を大幅に高める=静岡大など
by MITテクノロジーレビュー編集部 [MIT Technology Review Japan]静岡大学、東京大学などの共同研究チームは、国内の主要四大人工林樹種、スギ・ヒノキ・マツ属・カラマツを対象に、森林の年齢から面積当たり森林炭素蓄積量を算出する関数(「林齢-炭素蓄積量関数」と呼ぶ)を日本全国スケールで新たに作成した。さらに、同関数を用いて、過去から未来に渡る日本全域の森林による炭素隔離量を推定し、活発な林業活動が日本の森林における炭素隔離量を大幅に高めることなどを示した。
研究チームは今回、スギ・ヒノキ・マツ属・カラマツの4タイプを対象として、2009~2013年に林野庁が実施した「森林生態系多様性基礎調査(m-NFI)」を用いて、最新の林齢-炭素蓄積量関数を作成。同関数を用いて、過去の林齢別森林面積変化から過去の森林炭素蓄積量の経年変化を推定し、さらに、伐採・植林シナリオによる木材生産を含めた森林の炭素隔離能力の違いを検討した。
その結果、4タイプ全てにおいて新規推定値が、これまで考えられてきた成長速度、過去の森林炭素蓄積を上回ることがわかった。さらに、2060年時点の炭素隔離量予測値は、現状の2倍の伐採率と伐採に対して100%の植林率を仮定した場合、現況の伐採率・植林率条件の2~3倍、伐採も植林もしない場合の3~4倍となることも判明した。
森林造成や森林成長による炭素隔離は、地球温暖化抑制のための有力な手段として期待が高まっている。研究チームによると、日本の人工林は、積極的な伐採と植林により樹木生産物による炭素貯蔵の長寿命化を図るという前提の下で、極めて高い炭素隔離能力を発揮することが示されたとしている。
研究論文は、サイエンス・オブ・ザ・トータル・エンバイロンメント(Science of the Total Environment)にオンライン掲載された。
(中條)
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